ホリショウのあれこれ文筆庫

歴史その他、気になった案件を綴ってみました。

2022-06-01から1ヶ月間の記事一覧

第375話 二君にまみえた福島正則

序文・秀吉から家康へ 堀口尚次 安土桃山時代に、尾張国海東郡二ツ寺村〈現・愛知県あま市二ツ寺屋敷〉で生まれた。母は、秀吉〈のちの豊臣秀吉〉の母〈のちの大政所(おおまんどころ)〉の妹〈秀吉の叔母〉にあたる人物。少年に成長すると、母を通じた縁で秀…

第374話 命をいただくということ

序文・「いただきます」の本来の意味 堀口尚次 テレビで「ある牛飼いの日々」というドキュメンタリー番組を観た。父や祖父の代から続く畜産を受け継いだ男性の暮らしを追っていたが、餌の配合・牛舎の清掃・体調不良の牛の治療・種付け・牛の種類などあらゆ…

第373話 聞け万国の労働者

序文・労働者諸君! 堀口尚次 聞け万国の労働者 とどろきわたるメーデーの示威(しい)者に起る足どりと 未来をつぐる鬨(とき)の声汝の部署を放棄せよ 汝の価値に目ざむべし全一日の休業は 社会の虚偽をうつものぞ永き搾取に悩みたる 無産の民よ決起せよ今や二…

第372話 勝利投手の条件

序文・先発→中継ぎ→抑え 堀口尚次 勝利投手とは、野球などの試合において勝利チームの責任投手を指す。勝ち投手、日本の公認野球規則においては勝投手とも記述される。基本的には、自チームのある時点での得点が決勝点となるように、守備面で貢献した投手が…

第371話 サービス残業の闇

序文・闇シリーズ① 堀口尚次 サービス残業とは、使用者(雇用主)が、労働者が行う時間外労働に対し本来支払うべき賃金が支払われない時間外労働の俗称。 使用者がサービス残業を強要すれば、違法行為でありまずありえない。問題なのは、労働者が使用者の許…

第370話 競馬の馬券の所得区分と必要経費論争

序文・賭け事と税金の違和感 堀口尚次 国税庁のホームページによると、『競馬の馬券の払戻金が一時所得と雑所得のいずれに該当するか、外れ馬券の購入費用が必要経費として控除できるか、が争われていた裁判において、①最高裁平成29年12月15日判決は、本件の…

第369話 政令指定都市の課題

序文・権限と役割は違うはず 堀口尚次 政令指定都市は、地方公共団体の一つ。法廷人口が50万人以上で、なおかつ政令で指定された市のこと。名古屋市・大阪市・横浜市などがこれにあたる。地方自治法において、都道府県は市町村を包括する広域の地方公共団体…

第368話 女王蜂の不思議

序文・君臨すれども統治せず 堀口尚次 女王蜂は、群れで生活を行う真(しん)社会性〈動物の示す社会性のうち高度に分化が進んだもので集団の中に不妊の階級を持つことを特徴としハチやアリなどの社会性昆虫などに見られる〉を有するハチの集団において、繁殖…

第367話 軍隊ラッパ

序文・郷愁と哀愁 堀口尚次 日本にラッパが紹介され持ち込まれたのは幕末で、慶応元年にイギリスの歩兵操典〈英国歩兵練法〉が翻訳された際に、信号喇叭(らっぱ)譜が紹介された。明治に入り近代軍隊設立のため、フランス軍に範をとった陸軍が招聘(しょうへい…

第366話 内部留保

序文・富の再分配の難しさ 堀口尚次 企業の純利益から、税金、配当金、役員賞与などの社外流出分を差し引いた残りで、「社内留保」ともいう。ひらたく言えば「企業の儲けの蓄え」のことだが、会計上は「利益準備金」「任意積立金」「繰越利益剰余金」などの…

第365話 土用の丑の日

序文・いつたべても美味しい 堀口尚次 土用の丑の日は、土用の間のうち十二支が丑の日である。「土用」とは五行思想〈古代中国に端を発する自然哲学〉に基づく季節の変わり目を意味する雑節(ざつせつ)〈節分・彼岸・八十八夜など季節の移り変りをより適確に…

第364話 ミスコン廃止に思う

序文・臭いものに蓋をする文化 堀口尚次 過日テレビのニュース番組で「ミスコン廃止」に関する話題を取り上げていた。視聴する中で、若干の違和感を持ったので筆を執った。 ルッキズムとは「looks〈外見、容姿〉+ism〈主義〉」すなわち外見至上主義。外見に…

第363話 幻の大府飛行場

序文・今も長い直線道路が残る 堀口尚次 大府飛行場は、かつて愛知県大府市と東海市にまたがる地区にあった飛行場である。別名:知多飛行場。現在の知多半島道路 大府東海インターチェンジの北側一帯に展開していた。 零式艦上戦闘機を代表とする数々の航空…

第362話 名鉄終点駅踏破シリーズ・岐阜羽島

序文・思い出は春雨と共に 堀口尚次 6月15日に表題のシリーズその第10段として、岐阜県羽島市の名鉄新羽島駅を目指して、自宅最寄り駅の常滑(とこなめ)線の聚楽園(しゅうらくえん)駅から出発しました。親父が名古屋鉄道の株主であることから、どこまで乗って…

第361話 名古屋に伝わる宮本武蔵

序文・武蔵は通称、諱は玄信。 堀口尚次 宮本武蔵は、江戸時代初期の剣術家、大名家に仕えた兵法家、芸術家。二刀を用いる二天一流兵法の開祖。京都の兵法家・吉岡一門との戦いや巌流島での佐々木小次郎との決闘が有名である。 名古屋には、「宮本武蔵の碑」…

第360話 闇深ければ暁近し

序文・心に刃を立てて忍ぶ 堀口尚次 だいぶ昔に、「朝まで生テレビ」で公明党の議員が討論中に「闇深ければ暁(あかつき)近し・・・」と言って、司会の田原総一朗から「そんな呑気なこと言ってる場合じゃない!」と突っ込まれていたのを思い出した。 この言葉…

第359話 生活保護「扶養照会」

序文・民法の義務が皮肉な結果に・・・ 堀口尚次 生活保護受給の審査に「扶養照会」なる存在があることを、テレビのドキュメンタリー番組で知った。その問題点について調べてみた。 生活保護は、国や自治体が「健康で文化的な最低限度の生活」を日本国民に保…

第358話 サカキとシキミ

序文・神前と仏前 堀口尚次 サカキは、モッコク科サカキ属の常緑小高木。日本の神道においては、神棚や祭壇に供えるなど神事にも用いられる植物。古来、植物には神が宿り、特に先端が尖った枝先は神が降りるヨリシロとして若松やオガタマノキなど様々な常緑…

第357話 「唐人お吉」こと斎藤きち

序文・内海海岸の残る一説 堀口尚次 斎藤きち、 天保12年 ~明治23年は、幕末から明治期にかけての芸妓(げいこ)、酌婦、髪結、小料理屋店主。俗に唐人お吉の名で知られる。伊豆国賀茂郡下田の坂下町〈現在の静岡県下田市〉で出生といわれるが、一説には尾張…

第356話 鏡の松

序文・松は神が宿る木 堀口尚次 鏡の松とは、能舞台で、鏡板〈能舞台の背面にある板壁〉に描かれる老松の絵。奈良春日神社の「影向(ようこう) の松」を写すという。影向とは神仏が姿を現すことで、影向の松は神仏が現れるときの依代(よりしろ)となるものだ。…

第355話 名古屋大空襲の戦争遺構を訪ねて

序文・熱田神宮の鳥居にも爆弾の破片が・・・ 堀口尚次 名古屋大空襲は、第二次世界大戦末期、アメリカ軍が名古屋市に対して繰り返し行った空襲の総称、もしくはそのうち特に市街地を標的として大規模に行われたものをいう。後者においては、中心市街地が罹…

第354話 付知峡キャンプ

序文・バンガローキャンプ→温泉→蕎麦の定番コース 堀口尚次 6月7日~8日で一泊二日のバンガロー・キャンプに行ってきた。岐阜県中津川市の付知峡のアオミキャンプ場というところへ行った。小学校からの同級生3人での珍道中となった。実はこのメンバーでは、…

第353話 人を死に至らしめた場合の刑罰

序文・交通事故の悲惨な事例 堀口尚次 5年前、東名高速で起きた「あおり運転」の死傷事故のやり直し裁判で、危険運転致死傷などの罪に問われた石橋和歩被告に判決が言い渡された。横浜地裁は争点となっていた危険運転致死傷罪の成立を認め、懲役18年の実刑を…

第352話 名古屋の大仏巡り

序文・ご尊顔を拝し奉る 堀口尚次 名古屋三大仏として、「栄国寺の阿弥陀如来」「雲心寺の阿弥陀如来」「興正寺の大日如来」である。また「桃厳寺の大仏〈釈迦と思われる〉」は名古屋大仏と称している。この他の大仏として、「興正寺の釈迦牟尼」「普光寺の…

第351話 誓いの御柱と明治天皇駐蹕御趾

序文・明治天皇と愛知県半田市の御縁 堀口尚次 誓の御柱(みはしら)は五か条の御誓文を象徴する記念碑である。五角形の尖塔(せんとう)の各面に御誓文の各条文を刻む。大正15年〈昭和元年〉から昭和9年までの間に少なくとも7か所で建設された。そのうち現存を…

第350話 市街化調整区域と用途地域

序文・家も店も工場も法規制の上に建っている 堀口尚次 市街化調整区域とは、都市計画法に基づき、都市計画区域について、無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため必要があるときに定める区域区分のうち、市街化を抑制すべき区域として定める区域…

第349話 自衛官護国神社合祀事件

序文・殉職と信教の自由の狭間で 堀口尚次 自衛官護国神社合祀事件は、殉職した自衛官を山口県護国神社に合祀した行為が、信教の自由を侵害され、精神の自由を害されたとして遺族の女性が、合祀の取消し請求を求めた訴訟である。最終的に最高裁判所は訴えを…

第348話 朔平門外の変

序文・天皇のお膝元での事件 堀口尚次 幕末の桜田門外の変〈大老・井伊直弼暗殺〉や坂下門外の変〈老中・安藤信正襲撃〉はいずれも江戸城の門外で起きた事件で有名だが、朔平(さくへい)門外の変は、京都御所の門外で起きた公家暗殺事件である。 破約攘夷を唱…

第347話 浅草フランス座

序文・お笑いの殿堂 堀口尚次 浅草フランス座演芸場東洋館は、東京都台東区浅草六区に所在する演芸場。東洋館の通称で営業している。東洋興業株式会社経営。かつては長い間ストリップ劇場として営業していた。渥美清・東八郎・萩本欽一・坂上二郎・ビートた…

第346話 飛び地行政区の不思議

序文・地図で見ると一目瞭然 堀口尚次 木曽岬(きそさき)町は、三重県の北東端、木曽三川の河口部に位置する町。東は愛知県と接し、西は木曽川を挟んで桑名市長島町と接する。また、南は伊勢湾の最北部に面している。桑名郡に属する唯一の自治体である。三重…