ホリショウのあれこれ文筆庫

歴史その他、気になった案件を綴ってみました。

2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧

第437話 ゴーストップ事件

序文・軍人がいかに横柄であったか 堀口尚次 ゴーストップ事件は、昭和8年に大阪府大阪市北区の天六交差点で起きた陸軍兵と巡査の喧嘩、およびそれに端を発する陸軍と警察の大規模な対立。「ゴーストップ」とは信号機を指す。 満州事変後の中国大陸における…

第436話 アメリカ合衆国による沖縄統治

序文・今も残るアメリカ統治時代の名残 堀口尚次 アメリカ合衆国による沖縄統治は、昭和20年のアメリカ軍による沖縄占領から、昭和47年の沖縄本土復帰に至るまでの、27年間に及ぶアメリカ合衆国による占領統治時代のこと。この間沖縄はアメリカ合衆国の地域…

第435話 真岡郵便電信局事件

序文・旧樺太・サハリンの悲劇 堀口尚次 真岡郵便電信局事件とは、太平洋戦争後の樺太の戦いで、真岡郵便局の電話交換手が集団自決した事件である。当時日本領だった樺太では、一方的に条約破棄したソ連軍と日本軍の戦闘が、1945年8月15日の玉音放送後も続い…

第434話 人間魚雷「伏龍」

序文・選択条件「孤独に耐えうる者」 堀口尚次 伏龍(ふくりゅう)は、第二次世界大戦末期の大日本帝国海軍による特攻兵器。「人間機雷」とも呼ばれる。潜水具を着用した兵士が浅い海底に立って待ち構え、棒付き機雷を敵の上陸用舟艇に接触させ爆破するという…

第433話 永野軍令部総長の信条

序文・本当の勇気というもの 堀口尚次 永野修身(おさみ)は、日本の海軍軍人、教育者。最終階級および栄典は元帥海軍大将従二位勲一等功五級。第24代連合艦隊司令長官。第38代海軍大臣。第16代軍令部総長。海軍の三顕職である連合艦隊司令長官、海軍大臣、軍…

第432話 杉山参謀総長の遺書

序文・敗戦責任を痛感していた 堀口尚次 杉山元(げん)は、大日本帝国陸軍軍人。元帥陸軍大将。陸軍士官学校卒業、陸軍大学校卒業。陸軍大臣、教育総監、太平洋戦争開戦時の参謀総長。 陸軍大臣、参謀総長、教育総監の陸軍三長官を全て経験し元帥にまでなった…

第431話 大本営発表

序文・政治と武力(軍事力)の分散が目的で統帥権を独立させたはずが・・・ 堀口尚次 大本営は、日清戦争から太平洋戦争までの戦時中に設置された日本軍〈陸海軍〉の最高統帥機関。その設置は統帥権の発動に基づくとされ、平時には統帥部〈陸軍参謀本部及び…

第430話 高松宮宣仁親王

序文・戦争回避を進言 堀口尚次 高松宮(たかまつのみや)宣仁(のぶひと)親王は、皇族、海軍軍人。大正天皇の第三皇子。「なるべく近くに」と長兄・昭和天皇の内意より、横須賀海軍航空隊教官に補される。太平洋戦争開戦前夕の11月20日、軍令部部員と大本営海…

第429話 戦時猛獣処分

序文・戦争の悲劇はこんなところにも 堀口尚次 戦時猛獣処分とは、戦争時において動物園の猛獣が逃亡して被害を及ぼすのを未然に防止する目的で、殺処分することを言う。歴史上では、連合国軍による本土空襲に備えて第二次世界大戦中の日本で行われた一連の…

第428話 明治天皇〈睦仁親王〉すり替え説

序文・後醍醐天皇の怨念か 堀口尚次 明治天皇は、江戸時代最期の天皇であった孝明天皇の子であることは事実だが、孝明天皇が崩御して、僅か14歳で即位した睦仁(むつひと)親王は、明治維新時にすり替えられたとする説が存在する。 そもそもこの説は、昭和4年…

第427話 孝明天皇崩御の謎

序文・最期の在京天皇のタブー 堀口尚次 明治天皇の父である孝明天皇は、慶応2年12月、風邪気味であったが宮中で執り行われた神事に医師たちが止めるのを押して参加し翌1月に発熱する。診察した結果、天皇が痘瘡(とうそう)〈天然痘〉に罹患(りかん)している…

第426話 福助人形の生い立ち

序文・江戸の商売人の鏡 堀口尚次 福助人形は、幸福を招くとされる縁起人形。正座をした男性で、大きな頭とちょんまげが特徴。頭が大きな人の比喩にも用いられる。 元々は、文化元年頃から江戸で流行した福の神の人形叶(かのう)福助。願いを叶えるとして茶屋…

第425話 旗本奴と奴凧と冷奴

序文・江戸官僚の馬鹿息子が始めた 堀口尚次 旗本奴(やっこ)は、江戸時代前期の江戸に存在した、旗本の青年武士やその奉公人、およびその集団、かぶき者である。派手な異装をして徒党を組み、無頼をはたらいた。代表的な旗本奴は、水野十郎左衛門。代表的な…

第424話 判官贔屓の由来

序文・高校野球でも負けてる方を応援してしまう 堀口尚次 判官(ほうがん)贔屓(びいき)とは、第一義には人々が源義経に対して抱く、客観的な視点を欠いた同情や哀惜の心情のことであり、さらには「弱い立場に置かれている者に対しては、あえて冷静に理非曲直…

第423話 天皇機関説

序文・学者による学説 堀口尚次 天皇機関説とは、大日本帝国憲法下で確立された憲法学説で、統治権は法人たる国家にあり、天皇はその最高機関として、内閣をはじめとする他の機関からの輔弼(ほひつ)〈天皇への進言〉を得ながら統治権を行使すると説いたもの…

第422話 日ロ友好の魁・高田屋嘉兵衛

序文・水面下での民間人の活躍 堀口尚次 高田屋嘉兵衛(かへえ)は、江戸時代後期の廻船業者、海商である。淡路島で生まれ、兵庫津に出て船乗りとなり、後に廻船商人として蝦夷地・箱館に進出する。国後島・択捉島間の航路を開拓、漁場運営と廻船業で巨額の財…

第421話 阿野全成の哀れ

序文・今若丸こと源隆超 堀口尚次 阿野全成(ぜんじょう)は、平安時代末期から鎌倉時代初期の僧侶で、源義朝の七男。源義経の同母兄、源頼朝の異母弟。7歳の時の平治の乱で父義朝が敗死したため幼くして醍醐寺にて出家させられた。以仁王の令旨が出されたこと…

第420話 高家肝煎の旗本・吉良上野介

序文・官位が高い旗本 堀口尚次 吉良義央(きらよしなか)は、江戸時代前期の高家(こうけ)〈儀式や典礼を司る役職〉旗本〈高家肝煎(きもいり)=高家の上位〉。元禄赤穂事件の中心人物の一人として著名。題材をとった創作作品『忠臣蔵』では敵役として描かれる…

第419話 合区と一票の格差問題

序文・廃藩置県の見直し 堀口尚次 「合区」とは、通常1つの都道府県が選挙区となる参議院議員通常選挙において、複数の都道府県を1つの選挙区とすること。参議院合同選挙区とは、参議院議員通常選挙における隣接する都道府県を一つに合わせた選挙区。参議院…

第418話 大本事件の顛末

序文・神憑りから始まった 堀口尚次 大本(おおもと)事件は、新宗教「大本」の宗教活動に対して、日本の内務省が行った統制。大本弾圧事件とも呼ばれる。大正10年に起こった第一次大本事件と、昭和10年に起こった第二次大本事件の2つがある。特に第二次大本事…

第417話 霊感商法が付け入る隙

序文・人の弱みに付け込む 堀口尚次 霊感商法とは、霊感があるかのように振舞って、先祖の因縁や霊の祟り、悪いカルマがあるなどの話を用いて不安を煽り、印鑑・数珠・多宝塔などを法外な値段で商品を売ったり、不当に高額な金銭などを取る商法である。警視…

第416話 エホバの証人事件

序文・信仰と人命の狭間で何が起きていたのか 堀口尚次 エホバの証人は、キリスト教系の宗教。ものみの塔聖書冊子協会などの法人が各国にあり、全世界で活動している。聖書の神エホバを信仰している。聖書の教義を以下のように説明する。『全てのものには創…

第415話 モンスターペアレント

序文・教育の荒廃は社会の縮図 堀口尚次 モンスターペアレントという語が登場する以前から、こうした問題は「親のいちゃもん」として存在し、この種の保護者が目立って増え始めたのは1990年代後半からであるとされる。また、保護者を「モンスター」にしてい…

第414話 国鉄三大ミステリー事件

序文・旧国鉄民営化以前の黒歴史 堀口尚次 国鉄三大ミステリー事件とは、連合国軍占領下の日本において昭和24年の夏に相次いで発生した、日本国有鉄道にまつわる真相に謎が残る三つの事件の通称。今回は、付随する関連事件も列記する。 ①下山事件 国鉄総裁下…

第413話 融通念仏宗の開祖・良忍上人

序文・声明念仏 堀口尚次 良忍上人は、平安時代後期の天台宗の僧で、融通(ゆうずう)念仏宗の開祖。聖応(しょうおう)大師。 尾張国知多郡〈愛知県東海市〉の領主の秦道武(はたみちたけ)の子として富田荘〈富木島町〉に生まれる。良仁とも書き、房号(ぼうごう)…

第412話 武士道と云ふは死ぬ事と見付けたり

序文・武士は食わねど高楊枝 堀口尚次 武士道とは、日本の近世以降の封建社会における武士階級の倫理・道徳規範及び価値基準の根本をなす、体系化された思想一般をさし、広義には日本独自の常識的な考え方を指す。ただし明確な定義は無く、時代のほか、身分…

第411話 異例の出世「側用人・柳沢吉保」

序文・旗本最高位 堀口尚次 柳沢吉保(よしやす)は、江戸時代前期の幕府側用人・譜代大名。第5代将軍徳川綱吉の寵愛を受けて、元禄時代には大老格として幕政を主導した。王朝文化への憧憬(しょうけい)を強く抱いた文化人でもあり、江戸に六義園(りくぎえん)を…

第410話 今川義元のイメージ

序文・麻呂でおじゃる? 堀口尚次 今川義元(よしもと)は、戦国時代の駿河国および遠江(とおとうみ)国の守護大名・戦国大名。今川氏第11代当主で姉妹との婚姻関係により、武田信玄や北条氏康とは義理の兄弟にあたる。「海道一の弓取り」の異名を持つ東海道の…

第409話 梶原景時の忠義

序文・頼朝への忠義心が仇となった 堀口尚次 梶原景時は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけての武将。鎌倉幕府の御家人。石橋山の戦いで源頼朝を救ったことから重用され侍所所司(さむらいどころしょし)、厩別当(うまやのべっとう)となる。源義経と対立し…

第408話 討幕の密勅

序文・大政奉還との駆け引き 堀口尚次 討幕の密勅(みっちょく)とは、江戸時代最末期の慶応3年10月14日、薩摩藩と長州藩に秘密裡に下された、徳川慶喜討伐の詔書(しょうしょ)〈天皇の命令文書〉、または綸旨(りんじ)〈天皇の意を受けて発給する命令文書〉であ…