ホリショウのあれこれ文筆庫

歴史その他、気になった案件を綴ってみました。

2024-12-01から1ヶ月間の記事一覧

第1284話 DQN

序文・蔑称 堀口尚次 DQN〈ドキュン〉とは、日本語の文脈で「粗暴」「非常識」「軽率」「反社会的」「低脳」な者、またはそのように見える風貌の者へ使われるインターネットスラング・蔑称の一つである。 「DQN」とは、軽率そうな者、実際に軽率である者、粗…

第1283話 おとり捜査と仮装身分捜査

序文・身分秘匿 堀口尚次 おとり捜査〈囮捜査〉とは、捜査機関が対象者に犯罪の実行を働きかけ、犯罪が実行されるのを待って対象者を検挙する捜査手法。 令状による通常逮捕など他の捜査手法によっては検挙するのが難しい犯罪〈薬物犯罪、買春など〉について…

第1282話 お歯黒

序文・既婚女性の風習 堀口尚次 お歯黒とは、歯を黒く染める化粧法のこと。日本をはじめ、世界各地の風習である。「お歯黒」という名称は、もとは貴族の用語である。「おはぐろ」の読みに鉄漿の字を当てることもある。御所では五(ふ)倍(し)子(み)水(ず)とい…

第1281話 順次廃止されたトロリーバス

序文・日本無軌道電車 堀口尚次 トロリーバス とは、道路上空に張られた架線〈架空電車線〉から取った電気を動力として走るバスを指す。「トロリー」とは、集電装置の先端に備わる「触輪」のこと。外観も操縦法も普通のバスに近い。日本では、かつて都市部の…

第1280話 小牧山を寄付した「投げ出しの尾張侯」こと 徳川義親

序文・徳川家康御勝利御開運の御陣跡 堀口尚次 徳川義親〈明治19年 - 昭和51年〉は、日本の政治家、植物学者、狩猟家。尾張徳川家第19代当主。位階・勲等・爵位は従二位勲二等侯爵。戦前の貴族院議員で、第25軍軍政顧問。戦後は社会党を支援して党顧問となる…

第1279話 ホームステッド法

序文・西部劇名作映画「シェーン」 堀口尚次 ホームステッド法は、アメリカ合衆国で1862年に制定された法律であり、アメリカ西部の未開発の土地、1 区画 160 エーカー〈約 65 ヘクタール〉を無償で払い下げるものであり、自営農地法とも呼ばれる。この法律は…

第1278話 キラキラネーム

序文・DQN 堀口尚次 キラキラネームあるいはDQNネーム〈ドキュンネーム〉は、伝統的でない当て字、外国人名、創作物の登場人物名などを用いた奇抜な名前の総称。1990年代半ば以降から増加し、2000年代前半〜2010年代前半に全盛期を迎えた。命名は親の責任…

第1277話 うだつが上がらない

序文・防火壁 堀口尚次 うだつは、東洋伝統家屋の屋根に取り付けられる小柱、防火壁、装飾。本来は梲と書き、室町以降は卯建・宇立などの字が当てられた。中国では中南部都市部で隣家端側の漆喰塗り外壁を二階部や屋根上に延長し、黒瓦を載せる。 平安時代は…

第1276話 自然界には存在しないサラブレッド

序文・品種改良 堀口尚次 サラブレッドとは、18世紀初頭にイギリスでアラブ馬やハンター〈狩猟に用いられたイギリス在来の品種〉等から競走用に品種改良された軽種馬である。 競馬以外には乗馬やポロなど多数の用途に使用される。オリンピックなどの馬術競技…

第1275話 秘密国家警察・ゲシュタポ

序文・暴力装置 堀口尚次 ゲハイメ・シュターツポリツァイ〈通称ゲシュタポ〉は、ナチス・ドイツ期のプロイセン自由州警察、あるいはその後、ドイツ警察の中にあった秘密警察部門。「ゲハイメ・シュターツポリツァイ」は、秘密国家警察を意味するドイツ語。 …

第1274話 双六と徒然草

序文・賭博の道具 堀口尚次 すごろく〈双六、槊〉とは、サイコロを振って、出た目に従って升目にある駒を進めて上がりに近づける盤上遊戯〈ボードゲーム〉。古代インドの発祥で、日本では奈良時代に中国から伝来した。 すごろくには二人で対戦する盤双六と複…

第1273話 人間・本田宗一郎

序文・オヤジさん 堀口尚次 本田宗一郎〈明治39年 - 平成3年〉は、日本の実業家、技術者。輸送用機器メーカー本田技研工業〈通称:ホンダ〉の創業者。位階は正三位。 従業員からは親しみをこめて「オヤジさん」と呼ばれていたが、一方でともに仕事をした従業…

第1272話 辞世

序文・風さそふ花よりもなほ我はまた春の名残をいかにとやせん 堀口尚次 辞世とは、もともとはこの世に別れを告げることを言い、そこから、人がこの世を去る時〈まもなく死のうとする時など〉に詠む漢詩、偈(げ)、和歌、発句(ほっく)またはそれに類する短型…

第1271話 軍人用が発祥のランドセル

序文・大正天皇の入学祝 堀口尚次 ランドセルは、日本の多くの小学生が通学時に教科書、ノートなどを入れて背負う鞄である。江戸時代〈幕末〉、幕府が洋式軍隊制度〈幕府陸軍〉を導入する際、将兵の携行物を収納するための装備品として、オランダからもたら…

第1270話 戒厳令

序文・憲法法律停止 堀口尚次 戒厳とは、戦時や自然災害、暴動等の緊急事態において兵力をもって国内外の一地域あるいは全国を警備する場合に、憲法・法律の一部の効力を停止し、行政権・司法権の一部ないし全部を軍隊の指揮下に移行することをいう。軍事法…

第1269話 稲むらの火

序文・犠牲的精神 堀口尚次 稲むらの火は、嘉永7年/安政元年の安政南海地震による津波に際しての出来事をもとにした物語。地震後の津波への警戒と早期避難の重要性、人命救助のための犠牲的精神の発揮を説く。小泉八雲の英語による作品を、中井常蔵が翻訳・…

第1268話 主君・上杉綱憲を諫止した家老・千坂兵部

序文・御家大事 堀口尚次 千坂(ちさか)高房は、江戸時代前期の武士。米沢藩上杉家の江戸家老。千坂高治の子で、千坂景親の玄孫にあたる。通称の千坂兵部(ひょうぶ)で知られる。太郎左衛門、釆女(うねめ)とも。子に尚親。 千坂氏は上杉氏に古くから仕え、15世…

第1267話 私のお経回顧

序文・あなかしこ あなかしこ 堀口尚次 先日父方の祖母の四十三回忌の法事に参列した。在所〈父の実家〉は真宗大谷派〈いわゆる浄土真宗東本願寺派〉なので、お経は「正信偈・仏説阿弥陀経・御文章」などを約2時間にわたり読経した。 「正信偈」は幼少の頃か…

第1266話 プロ野球・現役ドラフト

序文・移籍活性化 堀口尚次 そもそもプロ野球のドラフト会議は、日本野球機構が開催する、新人選手獲得のために行われる会議である。正式名称は新人選手選択会議。 現役ドラフトは、日本野球機構で導入されている現役選手の移籍制度である。2022年より開始し…

第1265話 鬼の首塚

序文・関の太郎 堀口尚次 岐阜県可児郡御嵩(みたけ)町に「鬼の首塚」なる史跡があり、先日そこを訪れた。現地の看板『鬼の首塚〈天神塚〉町重文』には以下の説明書きがある。 『伝説のよれば鎌倉時代の建久、正治の頃〈1190~1200〉頗(すこぶ)る凶暴で悪行三…

第1264話 お濠電車といわれた名鉄瀬戸線

序文・孤立路線 堀口尚次 瀬戸線は、愛知県名古屋市東区の栄町駅から同県瀬戸市の尾張瀬戸駅までを結ぶ名古屋鉄道〈名鉄〉の鉄道路線。 瀬戸においては古くから窯業〈瀬戸焼〉が盛んであり、貨物輸送の需要は高く、鉄道の敷設は悲願であった。しかし、明治20…

第1263話 不幸の手紙

序文・元々の風土あり 堀口尚次 不幸の手紙は、日本で1960年代、または1970年代頃から流行し始めた、郵便を用いた悪戯行為の一種。「これを受け取った者は、同じ内容の手紙を一定期間内に不特定多数の人物に送らないと、何らかの不幸に遭う」という内容の手…

第1262話 伝説の墨俣一夜城

序文・一夜で造った城の伝説 堀口尚次 墨俣(すのまた)城は、岐阜県大垣市墨俣町墨俣にあった戦国時代の日本の城。 築城時期は不明である。長良川西岸の洲股〈墨俣〉の地は交通上・戦略上の要地で、戦国時代以前からしばしば合戦の舞台となっていた〈墨俣川の…

第1261話 ケンカ祭りこと乙川祭禮

序文・祭りは神事 堀口尚次 乙川祭禮は、愛知県半田市乙川地区で毎年3月第3日曜日と、前日の土曜日に行われる乙川八幡社〈乙川八幡宮・入水上神社とも呼ばれる〉の祭礼である。「坂上げ」と呼ばれる神社への引き込みの様子が荒々しいことから、ケンカ祭の異…

第1260話 徒士の身分と「御徒町」

序文・下級武士 堀口尚次 徒士(かち)は、徒歩で戦う士分格を持つ武士を指す。騎乗身分ではない。江戸時代には主君に仕える下級武士に当たる。 戦場では主君の前駆をなし、平時は城内の護衛〈徒士組〉や中間管理職的な行政職〈徒目付、勘定奉行の配下など〉に…

第1259話 宮本武蔵ゆかりの神仏習合の寺・東光院

序文・笠寺天満宮 堀口尚次 「笠寺天満宮東光院」は名古屋市のHPによると以下の紹介がある。『笠覆寺十二坊の一つとして創建されました。本堂は江戸中期の建立です。当院には、星崎城主山口重勝の所持品であった天満天神菅原道真の肖像画、別名「出世お神…

第1258話 笠覆寺と玉照姫

序文・笠寺観音 堀口尚次 寺伝によれば、天平5年、僧・善光〈または禅光〉が呼続(よびつぎ)の浜辺に打ち上げられた、夜な夜な不思議な光を放つ霊木を以て十一面観音像を彫り、現在の名古屋市南区粕畠(かすばた)町にその像を祀る天林山小松寺を建立したのが始…

第1257話 三方一両損

序文・大岡政談 堀口尚次 三方一両損は、古典落語の演目。大岡政談ものの一つで、講談の題目としても知られる。 左官の金太郎は、三両の金が入った財布を拾い、一緒にあった書付を見て持ち主に返そうとする。財布の持ち主はすぐに大工の吉五郎だとわかるが、…

第1256話 盃状穴

序文・岩への信仰 堀口尚次 神社仏閣の参道に参拝者の身を清める手水(ちょうず)鉢が置いてあるが、その縁に不自然な穴〈窪み〉が何ヵ所かあるものを時々見かける。穴の大きさは数㎝~10㎝くらい、中には多数の穴で原形を留めないほどデコボコになったものも…

第1255話 松巨島

序文・元は海 堀口尚次 松巨島(まつこじま)は、かつて愛知県名古屋市南区の笠寺台地〈現在の名鉄名古屋本線「桜駅」周辺〉に存在したとされる島。松炬島とも。ただし中世までの史料では「松巨」とは熱田神宮周辺を指しており、「松巨島」は江戸期以降の創作…