ホリショウのあれこれ文筆庫

歴史その他、気になった案件を綴ってみました。

宗教

第678話 御器所八幡宮と医王山神宮寺

序文・神仏混淆の名残 堀口尚次 御器所八幡宮は愛知県名古屋市昭和区御器所四丁目に鎮座する神社〈八幡宮〉。熱田神宮の鬼門を鎮護するため仁明天皇勅願社として鎮座されたとの言い伝えがあり、9世紀初頭の創建とも考えられるが、創建年代は不明としている。…

第673話 海の安全を守る青峰山観音

序文・十一面観音菩薩 堀口尚次 正福寺(しょうふくじ)は、三重県鳥羽市松尾町にある、高野山真言宗の仏教寺院。山号は青峯山(あおみねさん)で、同名の山の頂上付近にある。別名は嵯峨御所。海上守護の霊峰として漁業関係者の篤い信仰を集め、信者は北海道小…

第664話 トイレの神様・烏枢沙摩明王

序文・不浄を浄化する 堀口尚次 烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)は、密教における明王の一尊である。「烏枢瑟摩」「烏蒭沙摩」「烏瑟娑摩」「烏枢沙摩」とも表記される。真言宗・天台宗・禅宗・日蓮宗などの諸宗派で信仰される。台密〈天台宗の密教〉では…

第657話 堕落した天使=悪魔

序文・善と悪の戦い 堀口尚次 堕天使(だてんし)は、主なる神の被造物でありながら、高慢や嫉妬がために神に反逆し、罰せられて天界を追放された天使、自由意志をもって堕落(だらく)し、神から離反した天使である。 キリスト教の教理では悪魔は堕落した天使で…

第653話 賓頭盧尊者

序文・おびんづるさん 堀口尚次 賓頭盧(びんずる)は、釈迦の弟子の1人。獅子吼(ししく)〈熱弁をふるって真理・正義を説くこと〉第一と称される。名前の意味は、不動、利根(りこん)〈教えを受けて修行する者の性質資質がすぐれていること〉という。十六羅漢の…

第635話 活火山の山号「恐山」

序文・日本三大霊場 堀口尚次 恐山は、下北半島〈青森県〉の中央部に位置する活火山である。カルデラ湖であるの宇曽利山湖(うそりさんこ)の湖畔には、日本三大霊場の一つである恐山菩提寺が存在する。霊場内に温泉が湧き、共同浴場としても利用されている。…

第634話 十王堂にいる奪衣婆

序文・三途の川の番人 堀口尚次 十王堂に祀られているのは勿論十王〈閻魔王など十人の王〉だが、だいたい老婆の様なものも一緒に座っている場合が多い。そこでこの老婆のようなものは何なのか調べてみた。どうやら奪衣婆(だつえば)という老婆の鬼のようだ。 …

第631話 即身仏

序文・生きながらミイラとなる 堀口尚次 即身仏は、主に日本の仏教〈密教〉に見られる僧侶のミイラのこと。日本の一部地方に見られる民間信仰において、僧は死なず、生死の境を超え弥勒菩薩出世の時まで、衆生救済を目的として永遠の瞑想に入る〈入定〉と考…

第628話 高野山にある織田信長の墓

序文・真言密教の聖地 堀口尚次 筆者の母親は短歌が趣味で、以前に和歌山県の真言宗の総本山・高野山を訪れた時に「この山を 焼き討ちしたる 信長を 共に弔う 奥の院墓所」という歌を詠んでいる。高野山の奥の院には、名だたる戦国武将の墓があるが、織田信…

第621話 愛知岐阜の親鸞聖人の足跡

序文・南無阿弥陀仏 堀口尚次 親鸞聖人は、35歳の時に流罪になり越後へ流される。そして40歳で関東へ赴かれ茨城県の稲田に草庵を構え20年間布教に務める。その後京都へ戻られる際に様々な土地に立ち寄り説法を行っている。今回は、愛知県岐阜県に関して、そ…

第551話 日蓮上人

序文・お題目の確立 堀口尚次 日蓮は、鎌倉時代の仏教の僧。鎌倉仏教のひとつである日蓮宗〈法華宗〉の宗祖。鎌倉での宗教活動を理由に、得宗・北条時宗によって佐渡に流罪にされる。赦免後、胃腸系の病により入滅。滅後に皇室から日蓮大菩薩と立正大師の諡…

第550話 立正安国論

序文・南無妙法蓮華経 堀口尚次 『立正安国(りっしょうあんこく)論』は日蓮が執筆し、文応元年に時の最高権力者にして先の執権〈得宗(とくそう)=北条の家系〉である北条時頼〈鎌倉幕府第5代執権〉に提出した文書。 日蓮が永文6年に筆写したとされる本が法華…

第536話 末代無智の御文

序文・あなかしこ あなかしこ 堀口尚次 御文(おふみ)は、浄土真宗本願寺八世蓮如が、その布教手段として全国の門徒へ消息として発信した仮名書きによる法語。本願寺派では「御文章(ごぶんしょう)」といい、大谷派では「御文」、興正派では「御勧章(ごかんし…

第528話 「虫送り」と「虫供養」

序文・農作と虫は切っても切れない縁 堀口尚次 虫送りは、日本の伝統行事のひとつ。農村において、農作物につく害虫を駆除・駆逐し、その年の豊作を祈願する呪術的行事である。虫追いなど、西日本では実盛(さねもり)送りまたは実盛祭など数多くの別名がある。…

第521話 三草二木

序文・雨の恵み 堀口尚次 「法華経‐薬草喩品(ゆほん)」に説くたとえ。「三草(さんそう)」は上草・中草・下草の三、「二木(にもく)」は大樹・小樹で、さまざまの植物が、雨の恵みを等しく受けるように、資質の異なる衆生(しゅじょう)が等しく仏陀(ぶっだ)の教…

第516話 御嶽信仰

序文・修験道の山岳信仰 堀口尚次 御嶽(みたけ)神社は、蔵王権現(ごんげん)を祭った神社。金峰(きんぷ)神社・金峯神社ともいう。総本社は吉野金峰山寺の蔵王権現堂。 修験道の神である蔵王権現を祀る神社は、明治時代の神仏分離のときに、御嶽神社、金峰神社…

第499話 鯖大師

序文・手に鯖を持ってます 堀口尚次 鯖(さば)大師とは、阿波国を中心として伝わる高僧伝説であり、日本の各地に波及した民間信仰である。 鯖大師の伝説は、次のような話である。 『あるとき、旅の僧が馬に塩鯖を積んだ馬子(まご)〈馬の背中に貨物や人を乗せ…

第495話 毘沙門天

序文・神仏習合 堀口尚次 毘沙門天(びしゃもんてん)は、仏教における天部の仏神で、持国天、増長天、広目天と共に四天王の一尊に数えられる武神である。多聞天(たもんてん)または北方天とも呼ばれる。また四天王としてだけでなく、中央アジア、中国など日本…

第481話 愛知の大仏を訪ねて

序文・ありがたい 堀口尚次 私の地元、愛知県東海市に大仏があることから、幼少より大仏に慣れ親しんできた。昔から地元では「大仏さん」と親しみを込めて呼んでいた。そんなかんなで、愛知県に鎮座する大仏を訪ねてみた。 ①通称「聚楽園大仏」は東海市にあ…

第480話 多宝塔に魅せられて

序文・日本建築の美 堀口尚次 多宝塔は、寺院建築のうち仏塔における形式のひとつである。現代の寺院建築用語・文化財用語としては、一般に、平面が方形〈四角形〉の初層の上に平面が円形の上層を重ね、宝形造〈四角錐形〉の屋根を有する二層塔婆を「多宝塔…

第469話 屋根神

序文・風前の灯火 堀口尚次 屋根神(やねがみ)または屋根神様は、家屋の屋根の上に祀られた祠。愛知県や岐阜県などで見られる。 古い家屋の一階ひさし屋根や軒下などに設置され、一般に火伏の秋葉神社や厄よけの津島神社のほかに伊勢神宮や氏神〈名古屋では熱…

第457話 旧統一教会騒動に思う

序文・すがる想いは誰にもある 堀口尚次 私たちは「宗教」と聞くと、なんか胡散臭(うさんく)さを感じてしまう傾向がありはしないだろうか。伝統仏教やキリスト教などならまだしも、いわゆる「新興宗教」となると身構えてしまう。なぜなのだろう。 私なりの解…

第418話 大本事件の顛末

序文・神憑りから始まった 堀口尚次 大本(おおもと)事件は、新宗教「大本」の宗教活動に対して、日本の内務省が行った統制。大本弾圧事件とも呼ばれる。大正10年に起こった第一次大本事件と、昭和10年に起こった第二次大本事件の2つがある。特に第二次大本事…

第417話 霊感商法が付け入る隙

序文・人の弱みに付け込む 堀口尚次 霊感商法とは、霊感があるかのように振舞って、先祖の因縁や霊の祟り、悪いカルマがあるなどの話を用いて不安を煽り、印鑑・数珠・多宝塔などを法外な値段で商品を売ったり、不当に高額な金銭などを取る商法である。警視…

第416話 エホバの証人事件

序文・信仰と人命の狭間で何が起きていたのか 堀口尚次 エホバの証人は、キリスト教系の宗教。ものみの塔聖書冊子協会などの法人が各国にあり、全世界で活動している。聖書の神エホバを信仰している。聖書の教義を以下のように説明する。『全てのものには創…

第413話 融通念仏宗の開祖・良忍上人

序文・声明念仏 堀口尚次 良忍上人は、平安時代後期の天台宗の僧で、融通(ゆうずう)念仏宗の開祖。聖応(しょうおう)大師。 尾張国知多郡〈愛知県東海市〉の領主の秦道武(はたみちたけ)の子として富田荘〈富木島町〉に生まれる。良仁とも書き、房号(ぼうごう)…

第393話 宗教の恐ろしさ

序文・心の時代~宗教・人生 堀口尚次 昨今世間を賑わしている宗教。では宗教とは一体何なのだろう。「人間は宗教なしでは生きられない」と言った人がいた。勿論すべての人が何らかの宗教に入信している訳ではないが、冠婚葬祭など何らかの宗教に傾倒してい…

第377話 秋葉神社は火の神様

序文・神仏習合 堀口尚次 秋葉(あきば)神社は、日本全国に点在する神社である。神社本庁傘下だけで約400社あるが、一説には1000社を超えるデータもある。神社以外にも秋葉山(さん)として祠や寺院の中で祀られている場合もあるが、ほとんどの祭神は神仏習合の…

第360話 闇深ければ暁近し

序文・心に刃を立てて忍ぶ 堀口尚次 だいぶ昔に、「朝まで生テレビ」で公明党の議員が討論中に「闇深ければ暁(あかつき)近し・・・」と言って、司会の田原総一朗から「そんな呑気なこと言ってる場合じゃない!」と突っ込まれていたのを思い出した。 この言葉…

第358話 サカキとシキミ

序文・神前と仏前 堀口尚次 サカキは、モッコク科サカキ属の常緑小高木。日本の神道においては、神棚や祭壇に供えるなど神事にも用いられる植物。古来、植物には神が宿り、特に先端が尖った枝先は神が降りるヨリシロとして若松やオガタマノキなど様々な常緑…