ホリショウのあれこれ文筆庫

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第33話 刑事コロンボの魅力

序文・愛してやまない「刑事コロンボ」。風貌や言動の楽しさと、時折垣間見せる豊かな人間性が好きだ。

                               堀口尚次

 

 アメリカのテレビ映画「刑事コロンボ」の刑事は職業であり、役職は警部である。ただし、厳密には、アメリカ合衆国カリフォルニア州のロサンゼルス市警察殺人課に所属する警察官であり、階級は「Lieutenant(ルテナント)」なので、これは日本では「警部補」にあたる。

 トレードマークは、ヨレヨレのコートと安葉巻、そしてぼさぼさの頭髪。基本マッチは携帯しておらず、いつも誰かに借りている。ペン(筆記具)も携帯しておらず、いつも借りているが、そのまま自分のポケットに入れてしまう癖がある。その風貌のためか、教会のシスターから浮浪者と間違えられる場面もあったが、身分を明かしたコロンボに対して、シスターの「変装して捜査ですか?」が笑えた。愛車は1959年式プジョー403カブリオレ(フランス車)だが、ポンコツ車なので、犯人役の高級車との対比が著しい。愛犬は、垂れ下がった大きな耳が特徴のバセットハウンドという犬種で、実際のピーターフォーク(コロンボを演じた役者)のペットだった。

 犯人は知的で社会的地位の高い人がほとんどで、会社社長・弁護士・作家・医者・スターなど。犯行動機は、権力欲や遺産目当てなどが多い。犯人は序盤では、一見愚鈍で無害そうなコロンボに警戒せず好意的に接するが、コロンボのねちねちした追及に、やがて苛立ちを隠せなくなる。

 完全犯罪を目論む犯行は、番組の冒頭で明かされるので、視聴者はコロンボがどうやって殺人のトリックを見破り、犯人のアリバイを崩していくかを楽しむ。中には、犯行は認めるが、コロンボに対し「立証できるのか?!」と迫るケースも多々あり、そこからのコロンボの推理やアリバイ崩しが、またおもしろい。

 私は小学6年生の時に、初めて刑事コロンボを観てからすっかり虜になってしまった。かれこれ50年来のファンである。コロンボ役の日本語吹き替え役として小池朝雄が定着しているので、新シリーズの吹き替え役・石田太郎にはどうしても違和感を覚えてしまう。また、NHKで放送されているものは、時間の都合で原版より20分程度もカットされている。そのこともあり、ストーリーの展開に疑問符が付く場合もある。マニアとしては、ノーカット版のDVDで楽しみたい。また翻訳家の「うちのカミさんがねー」とか「よござんすか」なども小池朝雄の声と相まって、コロンボ人気を上げた要因だろう。

 人気投票では「別れのワイン」がトップにあがるが、個人的には「逆転の構図」「祝砲の挽歌」が好きだ。

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