ホリショウのあれこれ文筆庫

歴史その他、気になった案件を綴ってみました。

第62話 アメリカ先住民インディアン

序文・小学校の校庭でトーテムポールを見かける事がある。そこには悲しい歴史が刻まれていた。

                               堀口尚次

 

 アメリカの先住民にインディアンがいるが、私達にとって馴染(なじ)みのある事と云えば、「トーテムポール」と「インディアン嘘つかない」ではないだろうか。そういえば「ジャロニモ酋長(しゅうちょう)【未開の部族の長】」なんてのも記憶にある。

 インディアンとは本来「インド人」を表す言葉で、コロンブスが新大陸発見時にインド(東洋)と勘違いした事からきているようだ。その後アメリカ先住民を表す言葉として定着したが、人種差別を助長するとし現在では「ネイティブアメリカン」と呼ぶようになった。

 原住民達は、言葉を持たなくてもテレパシーで仲間同士交信出来たり、未来の予言なども出来たとされる。それで嘘をつく前にテレパシーで何を考えているか分ってしまうから「インディアン嘘つかない」が生まれたという説もある。

 「トーテムポール」は、特定の集団や人物、「部族」や「血縁(血統)」に宗教的に結び付けられた野生の動物や植物などを彫刻した木の柱の事だが、元々は家の中の屋根を支える柱だった物が変化していったようだ。

 インディアン社会の酋長(しゅうちょう)とは、交渉の矢面に立つ「調停者」の事であって、「指導者」や「首長(くびちょう)」ではない。合議制社会であるインディアン部族は、首長制ではなく、アフリカの部族に見られるような「部族長」は存在しない。「ジェロニモ酋長(しゅうちょう)」が有名なのは、アパッチ族の酋長(しゅうちょう)として活躍し、最期までアメリカ合衆国やメキシコに抵抗した先住民族の英雄だったからだろう。

 敗戦から投降して以後、ジェロニモは生涯米軍の捕虜として扱われた。セントルイス万国博覧会などで人間動物園として見世物にされるなど、非人道的な扱いを受けた。当時のキリスト教の考えから彼らを人間として扱わなかった。

 ちなみにカナダの先住民に「エスキモー」がいるが、これも差別的要素が含まれる為、現在では「イヌイット」と呼ばれている。

 インディアンの歴史は、差別と偏見による迫害の歴史だった。虐殺(ぎゃくさつ)・民族浄化同化政策アルコール依存症・自殺など、白人達が決めた政策によって惨劇が繰り返された。唯一彼らの悲鳴に耳を傾けたのが、ニクソン大統領だったが、ウィーターゲート事件で失脚すると再びインディアンは苦境に立たされる事になった。アメリカの人種差別は黒人に代表されがちだが、インディアンに対する差別も忘れてはならない。

f:id:hhrrggtt38518:20211006065120j:plain