ホリショウのあれこれ文筆庫

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第79話 警視庁・警察庁・検察庁の違い

序文・警察官と検察官は、発音は一文字しか違わないけど、全く違います。

                               堀口尚次

 

 警視庁は、東京都の警察本部。各都道府県のトップが警察本部長なのに対して、警視庁だけは警視総監という。

 警察庁は、行政機関の一つで、国家公安委員会の特別機関である。トップは警察庁長官になるが、他の省の事務次官に相当する。この警察庁長官には、いわゆる階級が存在しない不思議な建て付けになっている。勿論、警視庁のトップである警視総監より上の立場になる。

 検察庁も、行政機関の一つで、法務省の特別機関である。トップは検事総長になる。検察庁は、各裁判所に対して置かれ、政治からの一定の独立性を保持しており、法の正義に従った職能の行使が期待される。政治的に任命される法務大臣は、行政機関たる検察庁を擁(よう)する法務省の長であることから、下部機関である各検察官に対し指揮する権限を有するとも解(かい)しうるところ、公訴(こうそ)権=特定の刑事事件について裁判所に審判を申し立てる権限・権利 の行使に対する不当な政治的介入を防止する観点から、検察庁法において、具体的事案に対する指揮権の発動は検事総長を通じてのみ行い得るとの制限が規定されており、法務大臣が特定の事件に関して直接に特定の検察官に対し指揮をすることは認められていない。

 検察官はそれぞれが検察権を行使する独任制官庁であるから、検察庁は検察官の事務を統括する官署にすぎない。また、日本のように公訴権を独占する検察官の裁量により、犯人であることが明らかであっても起訴しないことが出来る制度を、起訴便宜主義と呼ぶ。

 検察官は、例外を除き起訴権限を独占する(国家訴追主義)という極めて強大な権限を有し、刑事司法に大きな影響を及ぼしているため、政治的な圧力を不当に受けない様に、ある程度の独立性が認められている。端的なものが、先に記した法務大臣による指揮権の制限である。当然ながら、検察庁は、司法権立法権・行政権の三権の内、行政権を持つ行政に帰属する官庁であるが、国民の権利保持の観点から、俗に準司法機関とも呼称されている。

 政治家の犯罪を暴くのも検察官の役目だが、法務省のトップが政治家であり、その上が内閣総理大臣となると、検察官の独立性が保たれない限り犯罪が暴けない。だから法務大臣指揮権発動は極めて慎重に取り扱わなければならない。

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