ホリショウのあれこれ文筆庫

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第82話 将棋と麻雀から来た日本語

序文・高飛車にはなりたくないけど、テンパるのもいやだね。

                               堀口尚次

 

 高飛車(たかびしゃ)は、飛車(ひしゃ)を自陣の前方に高い位置にとる将棋の戦術で、この時の飛車が相手の歩兵等の駒を前進させにくくする様子から転じて、高圧的な性格のさまを「高飛車な態度」のように慣用句として使われる。

 王手は、「最終的な勝利を得るまであと一歩の段階。相手の死命を制するような決定的な手段」。優勝に王手をかけるといったように使う。将棋の王手は直接「王将」を攻め立てる手を言う。あくまでも王手は「このままいくと次の手で王将を取れるぞ!」という手なので、王手した・された瞬間に勝敗が決まるわけではない。だからこそ、日常的に使われる「王手」も勝利を得るまでにあと一歩の段階なのだ。

 テンパるは、麻雀であと一つの牌がそろえば上がれる状態を聴牌(てんぱい)といい、この聴牌に、動詞化する接尾語「る」が付いた言葉が「テンパる」。元は、聴牌の意味にそって、「準備が整った状態」や「余裕を持って対応できる状態」を差したが、いつしか「直前の状態」や「ギリギリの状態」という部分がクローズアップされ、「切羽詰まる」「余裕がなくなる」といった悪い意味に転じてしまった。 

 安全牌(ぱい)は、よく絶対に危険の無い無難な人のことを指して言う。主に女性を口説けない男性を指して言う。「彼は、安全牌だから一緒に飲んでも大丈夫!」麻雀はゲームを進める過程で不必要と判断した牌を場に捨てるが、捨てた牌が誰かの当たり牌である危険性がある。そんな中ルール上絶対に当たれない安心して捨てられる牌があり、それを安全牌と言う。絶対に安全な牌から転じて、人を指すようになった。

 また、麻雀には焼き鳥という呼称があるが、一度も上がれなかった(勝てなかった)人の事を指すが、焼かれて飛べなくなってしまったとでも云う事だろうか?更に、ハコテンという呼称もあるが、麻雀を行う時は一般的に麻雀牌が入っていた4つの箱を点棒入れに使用するが(点箱(てんばこ)と呼ばれる)、その点箱の中身がなくなって「箱だけになる」というのが由来らしいが、私なりの解釈では、「てんばこ」がひっくり返って、中身がなくなる(点棒がなくなる)から、「てんばこ」をひっくり返しての「ばこてん」が転じて「ハコテン」なんて仮説です。ちなみにわたしは、焼き鳥ハコテンも経験済みです。(泣く)

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