ホリショウのあれこれ文筆庫

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第89話 日付変更線とは

序文・初めはどうしても理解できなかった~(泣)

                               堀口尚次

 

 地球上には日付変更線が存在するが、なぜ必要なのでしょう?

 16世紀にマゼラン一行が西回りでの世界一周航海を達成して出発地のスペインへ帰り着いた際、この日付の矛盾が発覚した。乗組員は世界一周航海にあたって日記をつけていたが、帰路でアフリカの西にあるヴェルデ岬諸島に寄港したとき、日記に記録していた曜日は現地の曜日より1日遅れていた。さらに乗組員たちは、帰着後に自分たちが記録した日付が正しいとも主張したため大騒ぎになり、ローマ教皇のところに使者が出される事態にまで発展した。

 この矛盾は、現在では容易に説明が付く。マゼラン一行は地球の自転とは逆向きに世界を一周したため、地球が自転した回数よりも彼らが地球の周りを回った回数が1周少ない。つまり、彼らが見た日の出の回数は出発地のスペインにとどまっていた人々が見た回数より1回少なくなる。もし、一行が逆の向きで世界一周をしたならば、一行は地球の自転の回数に加え、さらにもうひと回りしてしまうことになるため、日付は1日減らさなければ他の人々と日付が合わなくなる。

 日付変更線は、太平洋を通る経度180度の線に当たり、日付を調整する経線で、島国の分布などで実際には折れ曲がっている。この線を西側から東側へ通過するときは日付を1日遅らせ、東側から西側へ通過するときは1日進める。

 経度が15度異なる地域では、その国にもよるが1時間だけ現地時刻が異なる場合が多い。そこで、旅行者が15度移動するたびに時計の針を1時間ずつずらしていくと、世界を一周したとき、時刻は正しいが日付が1日異なることになる。これを防ぐため、日付変更線を西から東にまたぐ場合は日付を1日戻し、東から西に跨ぐ場合は日付を1日進める。

 地球が自転している事と、地球の自転の速度より早く進んだ事(まずこうなるが)と、地球の自転と同じ向きか逆向きに進むかに起因する。

 因みに、本初子午線(ほんしょしごせん)とは、経度0度 0分 0秒と定義された基準の子午線(経線)を指す。赤道や地理極という明確な基準のある緯度と異なり、経度には明確な基準が自然には存在しないため、本初子午線は人為的に設定する必要がある。こちらは勿論直線であり、日付変更線は国をまたがない様な歪(いびつ)な線である。

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※本初子午線             ※日付変更線