ホリショウのあれこれ文筆庫

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第93話 会社研修会の思い出

序文・研修会は嫌いだったが、貴重な思い出になった。

                               堀口尚次

 

 20歳代の後半に、会社で受けた宿泊を伴った研修会の思い出です。チーフという立場の社員を対象とした、初級中間管理職?的な研修だった。会社・職場での自分を分析し、上司からまた部下(後輩)からどのように見られているのか、今後どのような目標を持ち、どのような計画で目的を達成するのかを考え、最終的に宣言みたいな事を発表するようなカリキュラムだったと思う。

 私は、こういった研修会が嫌いで、消極的な冷めた態度で臨んでいた。初日の最終段階で、「自己分析~今後の目標」をB紙(模造紙)に書く事になったが、一向に進まず、助言をしてくれた講師に対して「書きたくありません」と、ありえない返事。更に「仕事なんて、精一杯やっていれば問題ないんじゃないですか?書くことに何の意義があるんですか」と、青臭い書生論を宣い、生意気小僧を演出してしまったのだ。すると講師は「貴方の考えは考えでいい。でも書かなきゃ他の人にわかんないじゃないか」と諭してくれた。

 翌日、個人個人の発表になったが、案の定、私の発表で物議が起こった。B紙に書いてある事に具体的内容はなく、「働く人々のすべてが納得できる職場」とか「目的を達成するには、社長がいう『人々にしあわせを』が、そこになくてはならない」など、的外れなみんなが引いてしまう内容ばかりだったのだ。

 5人のチームで進行していたが、ふんずまり状態の私のチームへ来た昨晩の講師が、みんなに対して「ねえ、こんな事言う人みんなの会社に他にいるかい?」と聞いてくれた。すると一人が「いませんね、ただ彼はけしてその他大勢ではないですね」と言ってくれた。講師は「じゃあ会社の財産じゃないか!?」と言ってくれたのだ。そして講師は部屋を出て行く前に「上に立つってことは、抽象的な事が言えなきゃだめなんですよ。彼(私の事)は、具体的な事を抽象的に話す特技があると思うよ。」そして私の方を向き「だから反対に、抽象的な事を具体的にする能力もあると思うんだよね」と言って去って行った。

 私は、目から鱗が落ちた気がした。自分の世界に閉じこもり、ただ自分だけの美学に酔いしれていたのだと、気づかされたのだった。

 こうしてこの研修会は、私にとって有意義なものとして終える事が出来た。私は、今でもあの時の講師の顔や言葉・仕草を忘れていない。お陰様で私は、前を向いて仕事が出来るようになり、反省(検証・修正)と具体的な目標を持つ事がいかに重要であるかを知る事が出来ました。先生本当にありがとうございました。但し、その後の私は、出世する事もなく、一介の社員として会社に貢献してまいりました。「私なら、これが出来る!」の先生の教えどおり。

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※画像と本分内容とは関係ありません。