ホリショウのあれこれ文筆庫

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第133話 日本の仏教

序文・若い頃、仏教関連の書籍を読みあさりました。少しだけ復習。

                               堀口尚次

 

 日本の仏教は、大別すると、奈良時代華厳宗「奈良東大寺」・法相宗「奈良興福寺」・律宗「奈良唐招提寺」、平安時代真言宗高野山」・天台宗比叡山」、鎌倉時代の浄土系「浄土宗浄土真宗融通念仏宗時宗」禅系「曹洞宗臨済宗黄檗宗日蓮系「日蓮宗」の13宗で合計で56に分れる。

 中でも浄土真宗は、、真宗教団連合加盟の10派ほか諸派に分かれているが、宗全体としては、日本の仏教諸宗中、最も多くの寺院〈約22000か寺〉、信徒を擁(よう)する。有名なものでは、浄土真宗西本願寺派真宗大谷派東本願寺〉がある。

 日本の仏様は、大別すると、如来「釈迦如来阿弥陀如来大日如来など」、菩薩観音菩薩〈かんのんさま〉・地蔵菩薩〈おじぞうさん〉・文殊菩薩など」、明王不動明王など」、「帝釈(たいしゃく)天・弁財天〈べんてんさま〉・毘沙門(びしゃもん)天など」に分かれるが、垂迹(すいじゃく)仏『神仏習合思想の一つで、神道八百万の神々は、実は様々な仏〈菩薩や天部なども含む〉が化身(けしん)として日本の地に現れた権現(ごんげん)であるとする考〉』として、「八幡大菩薩金比羅権現・秋葉権現など」もある。因みに徳川家康の「東照大権現」も薬師如来を本地(ほんち)〈元の姿〉とする垂迹仏の一つとした。「悪の権化」とは『悪が姿を変えて現れた』の意味。

 日本の仏教の教義は、大変に難解であり哲学と云われる由縁である。有名なお経である「般若心経」で「空(くう)」〈あらゆるものは、それ自体として実体を持っているわけではないという考え〉を説くが、完全なる仏教哲学の世界だ。

 「南無阿弥陀仏〈浄土系〉」「南無釈迦牟尼仏〈禅系〉」「南無大師遍照金剛〈真言系〉」「南無妙法蓮華経日蓮系〉」など、宗派によって唱えるお経(お題目)も違う。因みに「南無妙法蓮華経」を唱えれば「法華経」を読んだ事になる。

 江戸時代までの神仏習合の歴史では、神道と仏教は密接な繋がりを保ってきたが、明治維新神仏分離廃仏毀釈(きしゃく)によって、それまで培(つちか)ってきた文化が破壊されてしまった。神宮寺〈神社敷地内の寺〉は元より、仏教文化そのものが壊滅的な打撃を被(こうむ)ったのだ。「毀釈」とは、釈迦の教えを壊すと云う事。

 戦後復興した仏教ではあるが、葬式仏教と揶揄(やゆ)され、本来持つ哲学としての信仰・信心が薄れた事は否めない。少子高齢化も相まって、僧侶の跡継ぎ問題や教義の伝承を危惧するばかりだ。願わくば、伝統的仏教の火を絶やすことなく、未来永劫に渡り継承されることを望まんとす。梵鐘を打ち鳴らして、己を戒めるのみだ。合掌

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