ホリショウのあれこれ文筆庫

歴史その他、気になった案件を綴ってみました。

第173話 七福神のそれぞれの出身地は?

序文・日本の宗教は本当に多種多様。

                               堀口尚次

 

 七福神とは、福をもたらすとして日本で信仰されている七柱の神である。七柱は一般的には、恵比寿、大黒天、福禄寿、毘沙門天、布袋(ほてい)、寿老人、弁財天とされており、それぞれがヒンドゥー教、仏教、道教神道など様々な背景を持っている。

 『恵比寿』は、伊邪那岐命イザナギノミコト)・伊邪那美命の間に生まれた子供「蛭子(ヒルコ)」、もしくは大国主神の息子である「事代主(コトシロヌシ)神」などを祀ったもので古くは「大漁追福」の漁業の神である。時代と共に福の神として「商売繁盛」や「五穀豊穣」をもたらす神となった。唯一日本由来の神である。

 『大黒天』は、インドのヒンドゥー教シヴァ神の化身マハーカーラ神。日本古来の大国主神の習合。大黒柱と現されるように食物・財福を司る神となった。また親子関係から恵比寿と並んで描かれることが多い。

 『弁才天〈弁財天〉』は、七福神の中の紅一点で元はインドのヒンドゥー教の女神であるサラスヴァティー。仏教に取り入れられ、音楽・弁才・財福・知恵の徳のある天女となり選ばれた。七福神の一柱としては「弁財天」と表記されることが多い。

 『福禄寿』は、道教の宋の道士天南星、または、道教の神で南極星の化身の南極老人。寿老人と同一神とされることもある。長寿と福禄をもたらす。

 『寿老人』は、道教の神で南極星の化身の南極老人。日本の七福神の一人としては白鬚(しらひげ)明神とされることもある。

 『布袋』は、唐の末期の明洲〈現在の中国浙江省寧波市〉に実在したといわれる仏教の禅僧。その太っておおらかな風貌が好まれ、手にした袋から財を出し与えてくれる。弥勒菩薩の化身ともいわれている。

 『毘沙門天』は、元はインドのヒンドゥー教のクベーラ神。福徳増進の神であったが、仏教に取り入れられてから、戦いの神としてしだいに民衆に信仰される。日本では毘沙門天〈ヴァイシュラヴァナ〉と呼ばれる。仏教では、四天王の一人であり、多聞天と呼ばれる。

 それにしても、日本とはいかに宗教に寛大であろうことか。異なる宗教の神様・仏様を一つの船に乗せてしまったのだ。いっそのこと、キリスト教イスラム教の神様たちも、みんな一つの船に乗せてしまえば、宗教戦争もなくなるかもしれませんね。

f:id:hhrrggtt38518:20211210062000j:plain