ホリショウのあれこれ文筆庫

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第215話 国会議員の特権・文書通信交通滞在費

序文・既得権益打破の模範となれるか

                               堀口尚次

 

 文書通信交通滞在費とは、国会議員が、公の書類を発送し及び公の性質を有する通信をなす等のため、月額100万円を支給される手当。

 この費用の目的はあくまで経費として支払われるが、前述のように文通費は報告や公開の義務がなく、歳費と合算して振り込まれる。そのため個人の政治活動費に流用するケースや、中には文通費を投資に流用するなどする議員が存在した。このことから、国会議員の「第二の給与」とも言われ問題視されている。また、月末に初当選した議員でも月初めに辞職した議員でも月あたりの満額100万円支払われ、衆議院参議院の比例で当選した議員が辞職し繰り上げ当選した議員が出た場合も、辞職した議員・繰り上げ当選した議員の両者に満額の100万円ずつ支払われる。さらに返還義務もなく自主的に国庫返納もできる法律が存在しないため、第49回衆議院議員総選挙が執行されたのは2021年10月31日であり、この選挙で初当選した議員にも満額の100万円支払われた。

 日本国憲法第49条は歳費の基準について「相当額」としている。国会議員は法律によって自ら歳費について決しうる立場にある。したがって、歳費の決定においては、お手盛りとの批判を受けることがないように特に留意すべきとされている。国会法は「議員は一般職の国家公務員の最高の給与額(地域手当等の手当を除く)より少なくない歳費を受ける」と規定されている(国会法第35条)。各議院の議長は217万円を、副議長は158万4000円を、議員は129万4000円を、それぞれ歳費月額として受ける。

 国会議員は歳費のほかに以下の手当が支給される。

①退職金②文書通信交通滞在費③JR特殊乗車券、国内定期航空運送事業に係る航空券の交付③審査・調査のための派遣旅費日当④旅費⑤議会雑費⑥期末手当⑦人事官弾劾の追訴にかかる実費の支給⑧弔慰金・特別弔慰金の支給⑨公務上の災害に対する補償⑩立法事務費

 日本の国会議員の歳費は、世界最高水準と優遇されていることから議員特権であるとして批判されることがある。

 昨今では特に「②文書通信交通滞在費」がクローズアップされている。元大阪府知事・元大阪市長橋下徹が「経費である以上は領収証をつけて実費処理であるべきで、領収書不要で100万円前払いはおかしい」「政治活動費は政党交付金で支払われるべき」と主張している。この橋下氏の主張を叶えるには、法律を変更しなければならない。しかし、国会議員は立法府の人間であり、いわば法律を作る又は変更するのが仕事なのだからすぐに実施すべきである。

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