ホリショウのあれこれ文筆庫

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第224話 背任と横領の違い

序文・お天道様は見てなさるぞよ

                               堀口尚次

 

 背任(はいにん)罪とは、他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背(そむ)く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときに成立する。

 特別背任罪とは、組織の幹部など組織運営に重要な役割を果たしている者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は組織に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該組織に財産上の損害を加えたときに成立する。未遂も罰せられる。財産犯に分類される。

 組織経営に重要な役割を果たす者が背任を行った場合、通常の背任より責任が重いと考えられることから、背任罪とは別に法律に規定されている。

 横領罪は、自己の占有する他人の物を横領する罪であり、単純横領罪・業務上横領罪・遺失物等横領罪・委託物横領罪などに分けられる。

 他人の物を本人の委託に基づいて占有する者が、図利(とり)〈利益を得ようとする〉加害目的で任務に背き本人に財産上の損害を与えた場合、横領罪と背任罪のいずれが成立するのかという問題が生じる。両罪の区別については、越権(えっけん)の有無で区別する見解や、領得行為の有無で区別する見解などがある。また、最近は横領罪は背任罪に対して特別法の関係に立つとして、横領罪の成否によって区別することが必要であり、かつ、それで十分であるとする見解が有力である。

 「背任」とは任務にそむくことであり、「横領」とは他人または公共の物を不法に自分の物とすることであることから、他人または公共の物を不法に自分の物とすることは、まず任務にそむくことになるので、混同し易い。

 公務員や会社の財務経理職の担当者が、横領罪となるニュースを観るが、仕組的〈システム的〉に可能であることがそもそも問題であるが、管理職の管理体制〈チェック体制〉に問題があるのだろう。管理職と事務担当者がグルになっている場合はお手上げであることから、やはり仕組〈システム〉的に横領が不可能になるようにするしかないのだろうか。

 背任に関しては、財務経理職に限らず告発されるケースのニュースを観るが、最終的には財産上の損害が問題になるので、財務経理職が絡んでくるケースが多いのだろうか。特別背任に関しては、経営者にあるまじき行為であり、真面目に働いている労働者の敵だと思う。カルロス・ゴーンもこれでしたっけ?!

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