序文・名古屋発祥の地球ゴマ
堀口尚次
ジャイロ効果とは、一般的には、物体が自転運動をすると〈自転が高速なほど〉姿勢を乱されにくくなる現象を指す。
学術上は、自転回転する物体〈この効果に関連する場合「ジャイロ」と呼ばれる〉について次の性質を指す。
・外部からモーメントが加わっていないかぎり自転軸の方向を保つ性質
・自転の角運動量が大きいほど姿勢を変えにくい性質
・外部から自転軸を回すようにモーメントが加えられるとき、モーメント軸および自転軸の両方と直交する軸について振れ回り運動をする性質
一輪車および、自転車やオートバイなどの二輪車では走行時の安定に寄与し、ジャンプ中の空中での姿勢変化にも現れる。ヘリコプターのローターや円盤のこぎり、草刈り機などでもこの効果が顕著に現れる。転がるコインやヨーヨー、コマなどの挙動にも影響が見られる。昔流行った「地球ゴマ」が有名だ。
回転軸保存性とは、角運動量保存の法則〈下式〉の一環で説明される。〈外力のモーメントが加わっていないかぎり〉自転軸の方向が変わらないということは、例えば北極星に軸を向けて回転している物体は物体の移動や地球の運動の影響を受けず、常に天空の北極点を向いて回り続けるということである。
モーメントを加えずに回転物体を支えるには、重心を通り、互いに直交する3つ〈自転軸を含む〉の自由回転軸を与える必要がある。一般に、自転軸に加えて1つ以上の自由回転軸を持ち、振り回りが可能な機構をジャイロスコープという。
ジャイロモーメントとは、自転する物体が存在する時、自転軸をひねるように物体を回転させると、反作用によって自転軸ともひねり軸とも異なる軸を周るように物体が回転するが、この反作用としての力のモーメント〈トルク〉のことをいう。
因みに、ヘリコプターには常に4つ〈揚力・推力・重力・抵抗〉の力が働いており、この4つの力の大きさを変える事により、上昇・前進・降下・後進、さらにはホバリング〈空中停止〉をすることが出来る。そして、ヘリコプターの羽根が左方向に回転し始めると、作用反作用の法則により、ヘリコプター自身〈機体〉が羽根の方向と逆方向に回転し始める。これをトルクというがこのままではヘリコプターは飛べないので、ヘリコプター自身の回転を止め、真っすぐ飛ぶ姿勢を得るために、その回転方向と反対方向の力を発生させるために、テールローターが取り付けられている。