ホリショウのあれこれ文筆庫

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第256話 大統領と首相

序文・権力の集中と分散

                               堀口尚次

 

 大統領は、共和国の元首の呼称の一つ。国によって、正式には共和国大統領や連邦大統領と称することもある。また、例外的に、国家元首たる合議体の議長や政府の長の呼称として用いられることもある。

 大統領制とは、大統領を国家元首とする政治体制。広義では大統領を元首としている統治体制全般を指すが、狭義においては行政府の長でもある大統領を国民からの投票により、議会とは独立して選出する政治制度のことを指す。

 首相とは、内閣の主席の大臣を指す。日本の内閣総理大臣の通称の一つ。

 国家には国家元首としての君主や大統領とは別に政府首班として首相を置くことがある。首相任命権に関しては、国家元首立法府が単独で行う場合のほか、その指名等を立法府国家元首が承認する場合など様々な形態がある。なお、首相職を国民から直接選出する首相公選制もある。国家元首と内閣や首相との関係については、国家元首を内閣の一員とするか否か、国家元首閣議を主宰するかなどでも違いがある。

 政治学では執政制度〈行政部〉の類型について、リーダーの選出とリーダーの解任の違いから、議院内閣制、自律内閣制、首相公選制、大統領制の4つの類型に分けることがある。

 議院内閣制では首相は議会多数派から選出され、解任も議会多数派により行いうる。議院内閣制の国家では、首相が政府の長である。近代の議院内閣制における史上最初の首相は、イギリスのハノーヴァー朝における第一大蔵卿のロバート・ウォルポールであるとされる。ハノーヴァー朝初代国王ジョージ1世はドイツ人だったため英語が全く読み書きできず、ウォルポールに内政外交全ての政策決定権を委託した。これが、国家元首である君主が「君臨すれども統治せず」という立憲君主制と議院内閣制による民主主義政治システムの構築の始まりとされる。

 現在問題とされているロシアの政治体制は複雑で、大統領制と議会内閣制の特徴を組み合わせた半大統領制国家とされている。「ロシア連邦の大統領」と「ロシア連邦政府の長=連邦政府議長の首相」が存在するが、首相はロシア連邦元首である大統領によって任命される。

 ウラジーミル・プーチンは、ソ連国家保安委員会〈KGB〉の出身で、エリツィン大統領の政権に参画し、首相や大統領を歴任している。

 クリミア半島併合に続く、今回のウクライナ侵攻といい、プーチン大統領の暴走は、朝鮮併合から満州国建国、そして日中戦争から太平洋戦争に突き進んだ日本の軍部の爆走に重なって見える。人類が学んだはずの「文民統制シビリアンコントロール」はどこへ行ってしまったんだ。

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※ロシアの政治体制