ホリショウのあれこれ文筆庫

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第269話 日蓮宗派の波紋

序文・組織の巨大化による亀裂

                               堀口尚次

 

 久遠寺(くおんじ)は、山梨県南巨多摩郡身延町にある、日蓮宗の総本山。山号身延山

日蓮が説いた本尊・題目・戒壇を三大秘法として、諸経の王と位置付けられる経典、妙法蓮華経法華経〉を釈迦の本懐にして最高無上としている。題目〈南無妙法蓮華経〉を唱えることを重視している。「南無妙法蓮華経」とは「妙法蓮華経法華経〉に帰依する」の意であり、「題目」は経典の表題を唱えることに由来する。

 分派は18に及んだが、今日の宗教法人日蓮宗は本迹一致派であり、本迹勝劣派は今日の日蓮正宗などである。

 戦後、昭和30年代~昭和40年代に日蓮正宗の信徒団体である創価学会が急成長し、日蓮正宗の規模もそれに伴って拡大した一方、昭和52年頃から日蓮正宗創価学会の両者の間には教義の解釈の違いなどで関係悪化が生じ始めた。

 昭和52年、信徒団体である創価学会が、1月の教学部大会で、会長池田大作の著作「人間革命」を日蓮の遺文に匹敵する御書に位置付けるなど、新たな路線を提示(52年路線)。これに対し、日蓮正宗側は教義からの逸脱であると批判し、創価学会は翌年に謝罪し、和解するが、批判はくすぶり続ける。

 平成2年より日蓮正宗創価学会の両者の関係は、教義の解釈の違いなどの原因により決定的に悪化した。平成3年より日蓮正宗創価学会の両者の関係は抗争状態となった。平成3年11月に日蓮正宗は、創価学会に対して破門〈処分〉を下した。平成2年の破門前信徒数は創価学会員を含み公称1,784万人であったが、平成20年宗教年鑑に記載されている信者数は39万6000人となっている。

 私は、日蓮宗の本山・身延山久遠寺を二度巡礼している。日蓮が祀られている奥の院は厳粛な聖地であり、霊験を感じた。

 また、幼いころには親戚の叔父に連れられて、日蓮正宗の本山・大石寺も訪れている。後に叔父が創価学会の信者であったことを知るが、その頃はまだ日蓮正宗創価学会の関係が悪化する前だったことを今になって知ることになる。

 日蓮宗の分派は、「立正佼成会」や「霊友会」などの、いわゆる新興宗教にも及んでおり、そのすそ野は広い。

 日蓮によって重視された教えの「折伏(しゃくぶく)」とは、仏教用語であり、悪人・悪法を打ち砕き、迷いを覚まさせること。人をいったん議論などによって破り、自己の誤りを悟らせること。あるいは、悪人や悪法をくじき、屈服させること。 広宣流布(こうせんるふ)は、法華経の教えを広く宣(の)べて流布すること。日蓮系各派では、この語を「日蓮〈自派〉の教えを広める」という意味で用いている 。

 創価学会や、しいては公明党の根底にも、この「折伏」と「広宣流布」の教えが息づいていると思われる。勿論私の個人的な感想だが。

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