ホリショウのあれこれ文筆庫

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第271話 弾劾制度

序文・三権分立のバランス

                               堀口尚次

 

 弾劾(だんがい)とは、身分保障された官職にある者を、義務違反や非行などの事由で、議会の訴追によって罷免し、処罰する手続き。これにちなみ相手を非難する表現にもなっている。

 日本の弾劾制度は以下の2種類があり、いずれも弾劾裁判の形式を採っている。1、日本国憲法第64条に基づき裁判官弾劾法に定める弾劾裁判裁判官に対して裁判官弾劾裁判所が行う。2,国家公務員法第9条に定める弾劾裁判人事院を構成する人事官に対して最高裁判所が行う。

 国会議員に対する弾劾制度は無い。日本国憲法第58条第2項に「両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の3分の2以上の多数による議決を必要とする」と定められている。

 裁判官に対する弾劾裁判は、20名の国会議員衆議院参議院の各院から10名ずつが委員となって構成する裁判官訴追委員会の訴追を受けて、14名の国会議員衆参各院から7名ずつ裁判員となって構成する裁判官弾劾裁判所が行う。裁判官訴追委員会裁判官弾劾裁判所とも、国会議員によって構成され、国会に属する国家機関であるが、いずれの機関も、国会および衆参両院から独立して職務を行うとされている。

 3月3日の中日新聞によると、『会員制交流サイト〈SNS〉などでの不適切な投稿で訴追された仙台高裁の判事が、業務外の発信で罷免すべききかどうかが問われる事態に、法曹界は「裁判官の表現行為の萎縮を招き、三権分立のバランスを乱す」との懸念が広がる一方、「今の時代、SNSでの暴言には厳しい判断もやむを得ない」との声もある。』とあった。

 更に同紙には、「不当な訴追から裁判官を守る会」の発言として「国会の司法への過剰な介入が続けば、裁判官の権力者の顔色ばかりうかがうようになる。国民が公平な裁判を受ける権利を損なうことにつながる」とあった。

 私は思ったが、国会の介入があろうが、裁判官は権力者の顔色などうかがわずに公平な裁判が受けられるのが三権分立だとばかり思っていた。

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