ホリショウのあれこれ文筆庫

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第350話 市街化調整区域と用途地域

序文・家も店も工場も法規制の上に建っている

                               堀口尚次

 

 市街化調整区域とは、都市計画法に基づき、都市計画区域について、無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため必要があるときに定める区域区分のうち、市街化を抑制すべき区域として定める区域である。

 都市計画法の定義としては、「市街化を抑制すべき区域」とされる。

この区域では、開発行為は原則として行われず、都市施設の整備も原則として行われない。つまり、新たに建築物を建てたり、増築することを極力抑える地域となる。ただし、一定の農林水産業施設や、公益上必要な施設、公的機関による土地区画整理事業などによる開発行為等は可能である。また、既存建築物の建替については、一定の範囲までは許可を要しない場合が多い。

 なお、市街化調整区域と対をなす市街化区域と市街化調整区域とからなる区域区分を定める際には、農林漁業との健全な調和を図る観点などから、十分に関係担当部局との間で協議が行われたうえで、市街化調整区域が定められている。市街化調整区域は、国土の約10.3%を占めている。

 一般に都道府県は都市計画区域について、都市計画に市街化区域と市街化調整区域との区分を定めることができると規定されているが、政令指定都市区域区分を定めなければならないとされている。市街化調整区域では市街化を抑制するため、原則として用途地域を定めない。

 用途地域とは、都市計画法の地域地区のひとつで、用途の混在を防ぐことを目的としている。住居、商業、工業など市街地の大枠としての土地利用を定めるもので、第一種低層住居専用地域など13種類がある。

 私は在職していた会社で、一時期店舗開発の業務に就いており、上記の用途地域が表示された専用地図を活用していた。本来店舗であれば、用途地域が「商業」であることは自明であるが、法律的にはそれ以外の用途地域でも建築は可能だった。都市計画図中で、各用途は色で分けられているため、用途地域図のことを色塗りということもある。〈住居系は緑~黄~オレンジ、商業系はピンクや赤、工業系は紫や青色などで示されることが多い〉用途地域の指定のない区域」は色が塗られないため、白地地域と呼ばれている。私は店舗開発の仕事で、この白地地域を巡る駆け引きや攻防が繰り広げられている世界を垣間見た。