ホリショウのあれこれ文筆庫

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第470話 はないちもんめ

序文・横溝正史の「悪魔の手毬歌」も怖かった

                               堀口尚次

 

 はないちもんめ(花一匁)は、こどもの遊びのひとつ。2組に分かれて、歌を歌いながら歩き、メンバーのやりとりをする。値段が銀一匁(もんめ)の花を買う際に、値段をまけて悲しい売り手側と、安く買ってうれしい買い手側の様子が歌われているとされる。古くから伝わり、江戸時代に普及した「子とろ子とろ」系の遊びから独立したと考えられる。江戸、明治、大正時代には同じ遊びが確認できない。昭和10年発行の「続日本童謡民謡曲集」に京都市で歌われていた歌が確認でき、昭和初期に広がったとされる。また、同書には静岡県沼津地方の縄跳び唄としても掲載されており、両方の歌の元歌が大正末頃にあったと考えられる。

 一般的には価格一匁の花を売り買いする際のやり取りだとされるが、「花」は若い女性の隠語であり、一人が一匁を基本とする値段で行われた人買い、または鬼〈異人〉に力づくでさらわれた中世の社会背景に起源があるともされる。子供の遊びにしては内容が残酷過ぎるとの反論もあるが、大人では到底歌えないような内容でも素直な子供が伝承してきたのであるとする見方がある。

 他にも、えんがちょ、指切り、てるてる坊主、通りゃんせ、かごめかごめなど現代では到底考えられないような残酷で恐ろしい由来を持つ可能性を有している遊びもある

 

歌詞の一例

 

勝ってうれしい はないちもんめ

負けてくやしい はないちもんめ

(中略)

あの子がほしい
あの子じゃわからん
この子がほしい
この子じゃわからん
相談しよう そうしよう