ホリショウのあれこれ文筆庫

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第485話 農免道路とは

序文・民主党政権事業仕分けで消滅

                               堀口尚次

 

 農道とは、日本の農村地域において農業の用に供するために設けられた道路の総称。一般には、「土地改良法」第2条に基づく農業用道路のことを指す。農道は「道路法」に基づく道路の区分ではないため、「農道」としての所管は国土交通省ではなく農業を管轄する農林水産省となる。

 ガソリンにかかる税金である揮発油税揮発油税法に基づき、製造所から移出される又は保税地域から引き取られる揮発油に対して課される税金。従来の道路特定財源の一つ。揮発油税地方揮発油税とをあわせて、ガソリン税という〉を使って整備された農道。通常ガソリン〈揮発油〉の取引には揮発油税がかかるが、農林漁業用機械に消費されるガソリンについてはそれを免除することになっている。しかし、取引の際にそのガソリンが何に使われるのかを確かめるのは現実的ではないため、農林漁業用機械に消費される分の揮発油税に相当する額を財源として道路を整備することで、揮発油税の免除に代えている。この事業を「農林漁業用揮発油税財源身替農道整備事業」と言い、その道路を一般に農免農道〈農免道路とも〉とよぶ。

 農林漁業用揮発油税財源身替農道整備事業は、昭和34年頃から「農林漁業用に使用されるガソリンは、仕事上の必要経費として税金を免除してほしい」との要望が強まってきたために、農林水産省が補助事業として立ち上げたものである。背景には、昭和初期まで一般財源に組み込まれていたガソリン税揮発油税〉が、昭和28年の道路交通法改正によって、国道や都道府県道を整備するための道路特定財源に回されることになったことにより、当時、日本の主力産業であった農林水産業への恩恵が少なくなったことにある。

 農道の総延長は、2013年8月時点での農林水産省の農道整備状況調査によれば、17万3659kmにもおよび、国道の総延長の2倍以上の長さがある。また、舗装率は36.1 %で、農道全体の57 %は幅員4 m未満である。農道の一部が都道府県道や市町村道へ転換されたり、2009年に行われた事業仕分けにおいて、農道事業が見直しの対象となり、2010年以降は新規箇所の着手は見送られることとなったことから、農道全体の延長は短くなってきている。継続中の箇所については、新たに制度化された交付金により工事が続けられることとなった。