ホリショウのあれこれ文筆庫

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第544話 超音速旅客機コンコルド

序文・乗ってみたかった

                                  堀口尚次

 

 コンコルドは、イギリスのBACやフランスのシュド・アビアシオンなどが共同で開発した超音速旅客機。コンコルドという名前は「調和」「協調」等を意味する。1969年に試験飛行として初飛行後、1970年にマッハ2を超す速度を記録し、1985年に就航、1976年に運用が開始された。

 定期国際航空路線に就航した唯一の超音速旅客機であったが、元々燃費が悪く定員の少なさもあって収益性が低い機体であり、2000年に墜落事故が発生したことや、2001年のアメリカ同時多発テロ事件によって、航空需要全体が低迷する中での収益性の改善が望めなかったことなどから運航停止が決定され、2003年10月までに営業飛行を終了し、同年11月26日に退役した。

 開発当時は世界各国のフラッグ・キャリアから発注があったものの、ソニックブーム〈騒音〉、オゾン層の破壊などの環境問題やオイルショック、開発の遅滞やそれに伴う価格の高騰、また大量輸送と低コスト化の流れを受けてその多くがキャンセルとなった。最終的にはエールフランスと、英国海外航空を継いだブリティッシュエアウェイズの2社のみによる運航に留まった。

 コンコルドは巡航高度5万5,000から6万フィート〈およそ20,000 m〉という、通常の旅客機の飛行高度の2倍もの高度〈成層圏〉を、マッハ2.2で飛行した。定期国際運航路線に就航した唯一の超音速民間旅客機でもあった。2020年3月現在、ボーイング474-400がニューヨークからロンドン間をジェット気流に乗り、3,459マイル〈約5,570キロメートル〉を4時間56分で飛ぶという、超音速を除く旅客機としては過去最速の記録を有する が、コンコルドは2時間52分59秒で同区間を飛行した。

 超音速飛行を追求した美しいデザインや、数少ない超音速旅客機だったこともあり、全機が退役した現在でもなお、根強い人気を持つ。

 性能は高いが、あまりにも費用も高く採算性の取れないもの、つまり費用対効果が低い〈コストの回収ができない〉ものや、失敗することを予測しつつも、これまでに投じた投資を無駄にしたくないという心理から、計画を中止できずに更に失敗を重ねてしまう様子などに対して、比喩的にコンコルドが使われることがある。