ホリショウのあれこれ文筆庫

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第654話 アメーバ経営・稲森和夫

序文・合理的と精神論

                               堀口尚次

 

 稲盛和夫昭和7年 - 令和4年〉は、日本の実業家。京セラ・第二電電〈現・HDDI〉創業者。公益財団法人稲森財団理事長。「盛和塾」塾長。日本航空名誉会長。一時経営破綻した日本航空の再建にリーダーシップを発揮するなど、日本経済に大きく貢献した。

 その独特な経営管理手法は「アメーバ経営」と呼ばれる。稲盛は全国に支部を持つ盛和塾と、PHP研究所や到知出版社などの出版社から出版した多数の経営指南書・自己啓発書を通じ、アメーバ経営や自らの経営哲学・理念の啓蒙・普及に努めている。また、その稲盛和夫の企業精神は世界のモーター業界で世界一のシェアを持つに至った、日本電産創業者の永守重信らにも多大な影響を与えた。稲盛哲学を中国に広め、中国人経営者の心を高めるために「稲盛和夫管理顧問有限公司」を北京に設立しており、中国でベストセラーになった稲盛の著書も多い。

 因みに「アメーバ経営」とは、企業の人員を特定の項目ごとに6~7人の小集団アメーバに分類する。アメーバごとに「時間当たり採算=売り上げ-経費÷労働時間」を算出し、アメーバごとに時間当たり採算の最大化を図る。時間当たり採算の目標値を月次、年次で策定。目標値に到達させるための汎用性のある方法として挙げられている「労働時間短縮」やアメーバごとに適用させた「売り上げ増加策」を実行に移して目標達成を目指す

 幼少時に郷里の鹿児島で祖母の隠れ念仏を行う姿を見て宗教に関心を持ち、1997年に臨済宗円福寺の西片擔雪(にしかたたんせつ)の下で在家得度〈法名:大和〉。雲水と共に修行を重ねた。円福寺本堂と庫裏の建て替えに寄進したり、京都市と京都仏教界とを仲介したりするなど、居士(こじ)〈在家信者〉としての活動も行なった。

 『企業経営には、権謀術数(けんぼうじゅっすう)〈社会や組織などの集団において物事を利己的な方向へ導き、自身や所属集団の地位や評価等を高めるために取られる手段や策略〉が不可欠だと感じている人が多いかもしれないが、そういうものはいっさい必要ない。今日一日を一生懸命に生きさえすれば、未来は開けてくる。正々堂々と人間として正しいやり方を貫けば運命は開けてくると考えている。』

※著書『人生と経営』より。