序文・手枷足枷
堀口尚次
「手を染める」は、諸説あるが、この「染める」は「初(そ)める」と同じ語源だという考えがある。「はじめる」という意味で、現代でも「書き初め・お食い初め」などの言葉に残っている。「手」は色々な慣用句に用いられる語で、「手を染める」の「手」には、体の一部としての「手」の意味はあまりないかもしれない。「足を洗う」は、裸足で外を歩いた後、建物の中に入る時に「足を洗う」ことから出てきた言葉。一説には、修行僧が汚れた足を洗い、俗世間の煩悩を洗い清めることに由来すると言われている。そこから転じて、悪事やよくない仕事をやめて正業につく。堅気(かたぎ)になる。
「手を汚す」→自ら苦労して事を行なう。また、軽蔑したりしていて、今までしなかったようなことを自らすること。
「手を焼く」→どう扱ってよいかわからないでいる。処置に窮する。持て余す。
「手を尽くす」→考えられる限りの方法を試みる。
「手を回す」→直接には出来ないことを人を介してする。
「手を隠す」→本音や本心を表に出さない。
「手を上げる」→叩く。脅かす。
「手を挙げる」→立候補する。自らの意思を表明する。
「足が付く」→犯人の身元や逃げた足どりがわかる。また、犯行が露見する。
「揚げ足を取る」→人の言葉じりやちょっとした失敗を取り上げて、相手を責める。
「足(あ)がく」→活路を見いだそうとして必死になって努力する。あくせくする。
「足元を見られる」→人の弱点につけこむ。
「足元をすくわれる」→卑怯な方法ですきをつかれて失敗させられること、油断しているところに思いがけない手段でつけこまれること。