ホリショウのあれこれ文筆庫

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第696話 神社の神事からきた「お祓い箱」

序文・古い神札の回収箱

                               堀口尚次

 

 祓(はらい)は、神道の宗教行為で、天津罪(ああつつみ)・国津罪(くにつつみ)などの罪や穢(けが)れ、災厄などの不浄を心身から取り除くための神事・呪術(じゅじゅつ)である。祓の神事を行うことを、修(しゅ)祓(ばつ)という。

 一般に、神前での祈祷(きとう)を、災厄除(さいやくよ)けの祈祷〈本来の意味の「祓」〉以外のものも含めて「お祓い」という。また、神社が頒布(はんぷ)する災厄除けの神札(しんさつ)も「お祓い」と呼ばれる。

 祓は、神道の神事において、禊(みそぎ)斎戒(さいかい)の後に行われる、極めて重要な意義を持つ浄化の儀式である。祓の意義は、神を迎え交流するための準備として、罪穢れのない清浄な空間をつくりあげるという点にある。そして、罪穢れについては、神事に臨む個人のものだけではなく、この世界のあらゆる罪穢れを徹底的に祓い浄め、「明(あか)き浄(きよ)き正しき直き」境地を求める姿勢こそが、神道の根本思想とされる。以上のように、神道の根本思想に直接関わるがゆえに、祓の意義は極めて大きく、祓のない神道祭式は存在しないとさえいわれる。

 神前で祈り、祓詞(はらえことば)を奏したり、財物などを祓物として拠出させることで、その罪や穢れを購(あがな)わせる。なお、出雲大社には、祓について「不浄を清浄に、不完全を完全に、不良を善良にすること。更には災いを除き幸福と平和を齎(もたら)す。」という教義がある。

 祓による浄化の効果を増大させるために、祭場とは別の場所に忌竹(いみたけ)を立てて、斎場(いつきば)として、祓所をつくることもある。神職は、祓所の前で祓詞を唱え、神事に参列する者たちの頭上や、供えられた神饌(しんせん)〈供物〉の上を、それぞれ左・右・左の順に祓串(はらえくし)〈大麻(おおぬさ)〉を振って祓い浄める。また、神事によっては、沸騰させた塩水の湯をそれぞれに振りかけることもある〈塩湯行事〉。

 かつて、伊勢神宮御師(おんし)が全国を廻って神宮の神札を配っていたが、神札を入れる箱のことを「お祓い箱」と呼んでいた。新しい神札が配られると古い神札は不要になるため、「お祓」を「お払い」にかけて、不要なものを捨てる人を解雇することを「お祓い箱お払い箱」という