ホリショウのあれこれ文筆庫

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第715話 三十二相八十種好

序文・お釈迦様のお姿

                               堀口尚次

 

 三十二相八十種好(さんじゅうにそうはちじっしゅこう)とは、釈迦の姿の32の特徴を言語によって数え上げたもの三十二相を詳述したものが八十種好相であり、見てすぐに分かる三十二相と、微細な特徴である八十種好を併せたもの。。仏の外形的な特徴とともに、宗教的な理想を示している。大般若経などに述べられており、経典によって多少の相違がある。「相」と「好」をとって相好(そうごう)ともいう。 

 仏像および仏画はこれに倣って作成される。経典により多少の相違がある。以下からの名称は大智度論巻第四による。

  1. 足(そく)下(げ)安(あん)平(ぴょう)立(りょう)相(そう)→足の裏が平らで、地を歩くとき足裏と地と密着して、その間に髪の毛ほどの隙もない〈偏平足〉。
  2. 足(そく)下(げ)二(に)輪(りん)相(そう)→足裏に輪形の相〈千輻輪〉が現れている。仏足石はこれを表したもの。
  3. 長(ちょう)指(し)相(そう)→10本の手指〈もしくは手足指〉が長くて繊細なこと。
  4. 足(そく)跟(げん)広(こう)平(びょう)相(そう)→足のかかとが広く平らかである。
  5. 手(しゅ)足(そく)指(し)縵(まん)網(もう)相(そう)→手足の各指の間に、鳥の水かきのような金色の膜がある
  6. 手(しゅ)足(そく)柔(にゅう)軟(なん)相(そう)→手足が柔らかで色が紅赤であること。
  7. 足(そく)趺(ふ)高(こう)満(まん)相(そう)→足趺すなわち足の甲が亀の背のように厚く盛り上がっている。
  8. 伊(い)泥(でい)延(えん)腨(せん)相(そう)→足のふくらはぎが鹿王のように円く微妙な形をしていること。伊泥延は鹿の一種。
  9. 正(しょう)立(りゅう)手(しゅ)摩(ま)膝(しっ)相(そう)→正立〈直立〉したとき両手が膝に届き、手先が膝をなでるくらい長い。
  10. 馬(め)陰(おん)蔵(ぞう)相(そう)→馬のように陰相が隠されている〈男根が体内に密蔵される〉。
  11. 身(しん)広(こう)長(じょう)等(とう)相(そう)→身体の縦広左右上下の量が等しい〈身長と両手を広げた長さが等しい〉。
  12. 毛(もう)上(じょう)向(こう)相(そう)→体の全ての毛の先端が全て上になびき、右に巻いて、しかも紺青色を呈し柔軟である。螺髪(らほつ)はこれを表す
  13. 一(いち)一(いち)孔(く)一(いち)毛(もう)生(しょう)相(そう)→身体の毛穴にはすべて一毛を生じ、その毛孔から微妙の香気を出し、毛の色は青瑠璃色である。
  14. 金(こん)色(じき)相(そう)→身体手足全て黄金色に輝いている。
  15. 丈(じょう)光(こう)相(そう)→身体から四方各一丈の光明を放っている〈いわゆる後(ご)光(こう)。光背(こうはい)はこれを表す。
  16. 細(さい)薄(はく)皮(ひ)相(そう)→皮膚が軟滑で一切の塵(じん)垢(こう)不浄を留めない。
  17. 七(しち)処(し)隆(りゅう)満(まん)相(そう)→両掌と両足の裏、両肩、うなじの七所の肉が円満で浄らかである。
  18. 両(りょう)腋(やく)下(げ)隆(りゅう)満(まん)相(そう)→両腋(わき)の下にも肉が付いていて、凹みがない。
  19. 上(じょう)身(しん)如(にょ)獅(し)子(し)相(そう)→上半身に威厳があり、瑞厳なること獅子王のようである。
  20. 大(だい)直(じき)身(しん)相(そう)→身体が広大端正で比類がない。
  21. 肩(けん)円(えん)満(まん)相(そう)→両肩の相が丸く豊かである。円満。
  22. 四(し)十(じゅう)歯(し)相(そう)→40本の歯を有し、それらは雪のように白く清潔である〈常人は32歯〉。
  23. 歯(し)斉(さい)相(そう)→歯はみな大きさが等しく、硬く密であり一本のように並びが美しい。
  24. 牙(げ)白(びゃく)相(そう)→40歯以外に四牙あり、とくに白く大きく鋭利堅固である。
  25. 獅(し)子(し)頬(きょう)相(そう)→両頬(ほお)が隆満して獅子王のようである。
  26. 味(み)中(ちゅう)得(とく)上(じょう)味(み)相(そう)→何を食べても食物のその最上の味を味わえる。
  27. 大(だい)舌(ぜつ)相(そう)→舌が軟薄で広く長く、口から出すと髪の生え際にまで届く。しかも、口に入っても一杯にはならない。
  28. 梵(ぼん)声(じょう)相(そう)→声は清浄で、聞く者をして得益無量ならしめ、しかも遠くまで聞える。
  29. 真(しん)青(しょう)眼(げん)相(そう)→眼は青い蓮華のように紺青である。
  30. 牛(ぎゅう)眼(ごん)睫(しょう)相(そう)→睫(まつげ)が長く整っていて乱れず牛王のようである。
  31. 頂(ちょう)髻(けい)相(そう)→頭の頂の肉が隆起して髻(もとどり)の形を成している。肉(にく)髻(けい)。
  32. 白毫(びゃくごう)相(そう)→眉間に右巻きの白毛があり、光明を放つ。伸びると一丈五尺ある。〈約4.5m〉

 

【八十種好〈主なもの〉】

耳が肩まで届く程垂れ下がっている。〈俗に福耳〉

耳(みみ)朶(たぶ)に穴が空いている。〈耳朶環状〉

のどに3本のしわがある。〈三胴〉

眉が長い。

鼻の穴が見えない。

へそが深く、右回りに渦を巻いている。