ホリショウのあれこれ文筆庫

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第1157話 軍法会議と軍律会議

序文・軍による裁判

                               堀口尚次

 

 軍律審判とは、軍が占領地住民に対して施行した法令〈軍律〉に基づいて行われる、軍律違反者に対する軍律会議に於ける審判である。

 軍法会議司法機関としての特別裁判所であるのに対して、軍律審判は軍の行政機関による手続であり審判結果は行政命令の執行という形で行われる

 軍律裁判と呼ばないのは軍律が法ではなく行政規則に過ぎないためである。しかし、軍法会議と同様に死刑が科せられる場合が多く、その内容は実質上は軍法会議と同様であり、対象者が軍人の場合は軍法会議、占領地の民間人非戦闘員を仮装した軍人やスパイを含むの場合は軍律審判で裁かれるだけの違いに過ぎない場合がほとんどである。

 軍法会議とは、主として軍人に対し司法権を行使する軍隊内の機関。一般的には軍の刑事裁判所として知られる。軍事裁判所、軍事法廷とも。太平洋戦争では戦況の悪化に伴い、食糧補給が無いので食料を探しに部隊を無断で離れる兵士も多くなり、上官殺傷で軍紀の乱れが有り、軍法会議にかけず処刑された兵士も多く、変死、平病死、特攻として死に追いやられた。

 戦時反逆とは、交戦権力下地域において非交戦者が行う利敵行為を意味する。

戦争犯罪として処罰される行為ではあるが交戦法規違反ではない。戦時国際法では敵軍に対し戦時反逆を利用する権利を与えている。私人〈中立国を含む〉及び仮装した軍人が対象となる。敵国の私人が行う武力による敵対行為は交戦法規違反を構成し、戦時反逆からは除かれるという説もある。

 戦時反逆罪は戦争法規を犯して敵対行為を働く罪であり、戦時重罪犯、戦時刑法犯として国際法の保護の対象とされない。敵国軍人や占領地住民の違法な敵対行為は戦時反逆罪として軍の処分に委ねられ、通常裁判にかけることなく、軍が自ら定立した刑罰法規で処断し得る〈軍律〉。軍律及び軍律会議は国際慣習法上認められて来たものでありハーグ陸戦法規第三款42条以下は占領地における軍律・軍律会議を認めたと解されている。軍律や軍律会議は軍事行動であり戦争行為に含まれる。

私見】日本軍に撃墜された米軍B-29兵士は、軍律会議により処刑〈絞首刑の判決のところ斬首〉されたが、このことにより戦後BC級戦犯となり逆に絞首刑となった日本軍法務官がいたことを、先日のNHKドキュメンタリーで知った。