ホリショウのあれこれ文筆庫

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第1376話 ポニーは背が低い馬

序文・品種ではない

                               堀口尚次

 

 ポニー〈pony〉とは、肩までの高さが147cm以下のの総称。特定の品種を指すわけではなく、馬のタイプの一つであり、犬程度の大きさしかないファラベラから、日本在来の駄馬の類いや、比較的大きいコネマラポニーなどが含まれる。〈ただしアラブ種のように高さ的にはポニーに相当する個体がしばしば見られるにもかかわらずポニーではなく一貫して馬と呼ばれる場合もある。〉

 代表的なポニーにはウェルシュマウンテンポニー、シェトランドポニー、ハクニーポニーがある。いずれも頭がよく温厚であり耐久力に優れているのが特徴である。

 人を乗せた状態〈平服時〉で100メートルを走らせた場合でも、時速40km/hは出せる。

 ピットポニーは、産業革命期のイギリスやオーストラリアでは、何千頭ものポニーが炭鉱の地下深くで働いていた。炭鉱が大規模化し、児童労働・女性労働が社会問題になるにつれ、置き換わるようにポニーの数は増えていった。炭鉱で働くポニーはピットポニーと呼ばれ、多くはシェトランドポニーの騸馬(せんば)〈去勢された牡馬〉もしくは雄馬であり、肩高120センチ程度で暗闇に適応し、1日8時間程度の労働に従事した。20年近く働いたピットポニーもいたが、多くのピットポニーは短命であり、中には地下で産まれ、一生太陽光を浴びることなく死ぬピットポニーもいた。

 19世紀になって、動物福祉運動の高まりとともに、ピットポニーの扱いに社会の関心が向くようになった。1887年の炭鉱規制法から、ゆっくりとだがピットポニーの保護が進み始め、1911年にピットポニーの管理規定が立法化された。1913年のイギリスでは約7万頭のピットポニーが地下に存在していたが、徐々に機械に置き換わりその数を減らしていった。最後のピットポニーが引退したのは1999年のことだった。

 日本原産の木曽馬は、体高は130cm強。元は運搬用、農業用の駄馬とされていたが現在は乗馬に使われる。

 因みにポニーテールとは、髪を後頭部で一つにまとめて垂らした髪型。日本語では総髪(そうがみ)と呼ばれるほか、「ポニテ」とも略される。毛先がポニー〈小型の馬〉の尻尾のように垂れていることからこの名が付いた。