ホリショウのあれこれ文筆庫

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第1381話 ブラックリスト

序文・死刑宣告した裁判官のリスト

                               堀口尚次

 

 ブラックリストは、警戒を要する人物・団体といった対象の一覧表のこと。対義語はホワイトリスト。差別的な表現となる可能性〈黒色が悪いという表現〉を避けて、ブロックリストとも呼ばれる。

 イングランド王チャールズ2世が、清教徒革命で父王チャールズ1世に死刑を宣告した58人の裁判官のリストを亡命中に作成したことが「ブラックリスト黒い名簿」の起源であるという。王政復古でチャールズ2世が王位に就くと、彼は「ブラックリスト」に記載された父王に死刑を宣告した裁判官を「王殺しの罪」で死刑または終身刑にして復讐した。

 企業から見たブラック対象者は、犯罪行為を行なった者、いわゆる「前科者」に対する制裁として行なう場合が多い。制裁措置は該当者を雇用しないか、または出入り禁止やアカウント〈会員権利〉剥奪・強制退会などにするケースがある。

 自分または自社に対し、不愉快な対応をした企業や商店などをチェックしてブラックリストに登録し、そのような所では取引や利用や買物を拒否するなどの形で報復する。これらは、ブラック企業に該当するような企業・団体が対象となることがある。

 金融業界では信用情報機関を通じて業者同士で事故情報〈異動情報、借金の返済における事故〉を共有することによって、借金申込者の事故情報の有無を確認をできるようになっている。申込者に借金を延滞したなどの事故情報がある場合、通常の金融機関では資金を貸出しづらくなる。よって、金融業者が自社会員以外のブラックリスト〈融資不適格者リスト〉を作成しているわけではない。しかし、事故情報の有無が確認されて新たな貸出を拒否となった場合、借金申込者から見れば自分がブラックリスト〈融資不適格者リスト〉に掲載されてしまったという印象を与えて、このような言葉が発生したと考えられる。

 特に近年は金融業界内での異業種〈例: 銀行・信販消費者金融〉間での情報の共有が進んでおり、よりブラックリストが存在するに近い環境となっている。金融業者は自社会員などについては個人情報や利用実績、返済実績についてデータベースを作成しており、これに基づいてクレジットカードの利用が制限される、もしくは融資不適格と判定される状態を社内ブラックと呼ぶ。