ホリショウのあれこれ文筆庫

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第1409話 消化試合

序文・意味のない試合

                               堀口尚次

 

 消化試合とは、主にスポーツの試合に関する分類の一つである。リーグ戦のスポーツで優勝チームまたは自分のチームの順位が確定してから最終試合が終了するまでの試合を呼ぶ。

 一般にリーグ戦では、全試合の成績で優勝チームやプレーオフ進出チーム、さらには、下部リーグとの入れ替え対象チームなどを決定する。しかし、実際には最終戦に入る前に、それらのチームの順位が確定してしまうことがあるため、優勝やプレーオフ進出、下部リーグへの降格が決まったチームにとって残りの試合はほとんど意味の無いものとなる。また、優勝やプレーオフ進出、上部リーグへの昇格の可能性が消滅した場合も、やはりそのチームにとっては残りの試合が意味の無いものとなる。これらを俗に消化試合と言う。

 原理的には、総当たり戦またはそれに近い方式でのみ発生するものである。また、試合数が多いほど消化試合の数が多くなる傾向にある。勝ち残り方式でもFIFAワールドカップのように総当たり戦のラウンドがあると消化試合が発生する。

 大相撲では番付の存在により消化試合が発生しにくくなっている。特に小結以下には原理上消化試合が存在しない。しかし大関で千秋楽以前に一桁勝利での勝ち越し/負け越しが決定してしまった場合は消化試合が発生する。これは大関にとっては8勝も9勝もそれほど評価に違いがなく、また負け越しは全て角番として同列とされる〈7勝8敗も15戦全敗も変わりない〉ためである。横綱は成績が振るわないと休場してしまうことが多く、消化試合を行うことが少ない。

 なお、自チームの順位が決まっていれば消化試合であるといっても、優勝チームが決定していない場合は、優勝を争うチームとの対戦では本気で戦うことがファンからは期待される。1982年の日本プロ野球セントラル・リーグでは、横浜大洋ホエールズセ・リーグ優勝チーム決定を賭けた中日ドラゴンズ戦で「大洋の順位は決まっているから消化試合」という認識で打率1位の自チーム選手である長崎啓二を欠場させ、打率2位の敵チーム打者の田尾安志を全打席敬遠して首位打者争いでは勝ったものの試合では大敗、中日の優勝に「貢献」して批判されたことがある。