ホリショウのあれこれ文筆庫

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第1448話 拘禁刑開始

序文・懲らしめor更生

                               堀口尚次

 

 禁錮とは、自由刑に作業義務等による区分を設けている法制度において作業義務を科さない刑罰のうち長期のものである。作業義務のある懲役作業義務を科さず短期の拘留と区分する。なお、アメリカ合衆国、イギリス、フランスなど自由刑に区分を設けない法制度の刑種について公的な資料などでは「拘禁刑」と表現されている。これらの国では長期の禁錮と短期の拘留のように刑種が別の区分になっていない。また、アメリカ合衆国やイギリスなどの拘禁刑には刑務作業が定められている場合があるものの、日本などの懲役刑が刑務作業を刑罰の内容としているのに対し、アメリカ合衆国やイギリスなどの拘禁刑は刑務作業を刑罰の内容として位置づけているものではない。

 懲役は日本など自由刑に作業義務の区分がある法制度において所定の作業義務を課すことを内容とする刑罰である。懲役刑は刑務作業を刑罰の内容とし、作業義務の有無により禁錮拘留と区分する〈禁錮拘留の場合でも申請により作業を行うことはできる〉。

 アメリカ合衆国やイギリスなどでは自由刑に区分がなく、アメリカ合衆国のImprisonmentやイギリスのCustodial Sentenceなどの自由刑は公的な資料などでは「拘禁刑」と表現される。拘禁刑に一本化している国にも作業義務がある国〈アメリカ合衆国やイギリスなど〉と作業義務のない国〈フランスなど〉がある。ただし性質上、日本における刑務作業は懲役刑刑罰の内容であるのに対し、アメリカ合衆国やイギリスなどの拘禁刑では刑務作業は刑罰の内容として実施されるものではない。日本語訳では便宜的に重罪の自由刑に「懲役」や「禁錮」の訳、軽罪の自由刑に「拘禁刑」の訳を当てることもあるが、法制度上の作業の強制等を伴っていない場合もあり法制度に関する資料では「拘禁刑」と訳される。