ホリショウのあれこれ文筆庫

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第1472話 黒ひげ危機一発

序文・仲間の海賊を救出

                               堀口尚次

 

 黒ひげ危機一発タカラトミー〈旧:トミー〉による玩具。1975年から販売されているロングセラー商品。

 海賊が頭だけを出している樽に対して短剣を刺し、樽から飛び出す海賊の反応を楽しむゲームである。 シンプルかつ飽きのこないゲーム性やユーモラスなキャラクター性からヒット商品となり、2020年までに81種類の製品が発売され世界47か国で約1500万個を売り上げている。

 商品開発の経緯として、鎌倉で行われた企画合宿にて「ファミリー向けアクションゲーム」「何度でも遊べるランダム性」を課題とした際に海を眺めていたある社員が「アクション」から「かっこいい」、「海」から「海賊」の着想を得て「海賊=かっこいい」のイメージを交えて開発された。

 なお、「ききいっぱつ」は四字熟語としては「危機一髪」の表記が正しいが、「黒ひげ危機一発」は「発」の字を用いている。

 発売当初は、敵に捕まり樽の中で縛られている仲間の海賊を救出するため、短剣を刺しながら樽の中でロープを切って助け出すという設定であり、飛び出させた人が勝ち」となるゲームであった。しかし、実は製品化前の企画・構想の段階では飛び出させた人の負け」とする予定であった。だが、「剣を最後まで差し込まずにズルをする人がいるかもしれない」との理由で上記にもある飛び出させた人が勝ち」となるルールに変更された

 1976年、フジテレビのクイズ番組『クイズ・ドレミファドン!』の放送初回からプレゼントゲームに採用され、一般に多く知られるようになったが、番組初期の頃は「飛び出させたらボーナス得点没収」というルールであったため、飛び出させた人の負け」というイメージが世間に広まった

 その後、正式ルールも1979年に「遊ぶ人が任意で勝ち負けを決める」となった時期を経て、1995年に「飛び出させたほうが負け」となることとなった。その後、2025年7月に、発売50周年を記念して、「飛び出したら“勝ち”」に原点回帰することが発表された