ホリショウのあれこれ文筆庫

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第1485話 国策ポスト

序文・郵便ポストの歴史

                               堀口尚次

 

 日本の郵便法による正式名称は郵便差出箱という。ポストの設置数は郵便制度が始まった明治4年には62カ所、1875年6月末時点の約500本から太平洋戦争後の一時期を除き年々増加傾向であり、2006年4月末時点では約191,400本となっている。2003年度日本郵政公社発足時は約18万6000本、2021年度末で約17万6000本あった。

 戦時中は金属供出のためポストの数が減少したが、金属製ポストの代わりにコンクリート製、サチナイトマグネシアセメント製の郵便ポストが造られた。これは通称・国策ポストと呼ばれている国策ポストはいくつかの現存例もあるが、現在も現役の郵便ポストとして使用されているのは、大宮諏訪神社鳥居南〈長野県上田市下武石〉にある1本のみとされる。

 日本もイギリスより郵便制度を導入したため基本的に赤色だが、1996年以前から使用されている郵便差出箱 1号から9号と、1996年に使用開始された新型の郵便差出箱 10号から14号とで若干色合いが異なっており、前者は一般的な朱色に近い赤色であるのに対し、後者は通常の赤色〈ただし脚柱部分は黒色、差入口周辺は銀色〉に塗装されている。この他、速達用としては青色、大型の集配所内に設置されているものでは国際郵便用の黄色のポストもある。日本で郵便制度が始まった初期のポストの色は赤色ではなく黒色だった。しかし、当時公衆便所が普及し始めたころでもあったことから、黒い郵便箱の「便」を見た通行人が郵便箱を垂便箱たれべんばこ・トイレのことと勘違いしたり、当時はまだ街灯などが十分に整備されていなかったため、夜間は見えづらくなるなどの問題が起こり、1901年に鉄製のポストを試験導入した際に「目立つ色」として赤色に変えられた

 なお、一部都市ではコンクリートグレーのなかで赤色が浮いてしまうため、「景観を崩さないように」との目的で、グレー、ダークグリーン〈いずれも東京都の一部〉やネイビーブルー〈横浜市の一部〉となっている例がある。珍しい例では国鉄時代に活躍した郵便車を模したオレンジと緑のポストが品川駅構内に設置されている。私設ポストでは銀色や灰色のものも多く、法的にはポストが赤でなくても別に問題ない。一部地域では、地域性を反映した特異な塗色のポストが設置されている事例が存在する。