ホリショウのあれこれ文筆庫

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第1459話 ドリフト族

序文・進行方向と逆向きにハンドルをきる

                               堀口尚次

 

 ドリフト走行は、自動車や二輪車における走行方法の一つであり、タイヤを横滑りさせながら走行させるテクニックである。単に「ドリフト」と省略して呼ばれることもある。「ドリフト」とは英単語の"drift"〈漂う〉を語源としている。

 ドリフト走行とは車を意図的に横滑りさせてコントロールする走行技術のことであり、ステアリングのみに頼らず、アクセル、ブレーキ、サイドブレーキクラッチなどの積極的な使用により、スライド状態を維持したまま進行方向を調整する複合的で高度な操作が求められる。

 日本では、1970年代に流行したドリフト族〈共同危険型暴走族〉と呼ばれる集団で、ドリフト車両、通称、ドリ車と呼ばれる車両で危険運転をする集団が、1980年代以降警察の強化で次第に廃れる一方、峠道などでバイクを傾けてカーブを走行するローリング族またカーブの多い首都高速道路等においては、ルーレット族、環状族と呼ばれる違法競走型暴走族が多く現れるようになった。これらはある種の顕示欲から、より危険なドライビングテクニックを披露する傾向があり、ドリフト走行もそのテクニックの一つとして取り入れられた。なかでも、峠道のほか都市部、埠頭などでドリフト走行を披露することを主にする者達のことは「ドリフト族」と呼ばれる。

 しかしドリフト走行特有のスキール音や排気音などの騒音が周辺住民の安眠を妨げるといった問題や、操作しきれずスピンなどを起こし、道路に面した民家や商店、ガードレール、あるいは通行している一般の車等に突入する事故も後を断たない。また、峠道では崖下に、港湾地区では海に車ごと落下してドライバーが命を落とす場合もある。特に危険度の高い細い道ほど彼等の興味をそそりやすいことから、周辺住民がそれらの無謀運転に巻き込まれるのを恐れて、深夜の外出がままならない等の弊害を生んでいる。また、救急車などの人命に関わる緊急自動車の走行を妨げ、場合によってはそれら車両と接触事故を起こす事例もあるため、もはや個人的な趣味の範疇を逸脱し、深刻な社会問題に発展してしまっている。