序文・名古屋市に残った緑地
堀口尚次
相生山(あいおいやま)は、愛知県名古屋市天白区天白町大字野並にある鳴子丘陵先端にある標高60メートルの低山である。「相生」という名称は謡曲や古今集に出る『住の江の松は相生』などからとられたものとみられており、この地に松林が多かったと考えられる。また相生山西側の地名に菅田という場所があり菅が茂っていたということが想像される。
第二次世界大戦中に米軍のB-29が落とした爆弾の穴が9ヶ所残っている。雑木林の中にすり鉢状の穴があり、「天白村誌」にも記載が残る。「昭和19年12月13日、名古屋市東区大曽根三菱発動機工場への空襲の際、B29の機影をみてより、大字野並字境根から戸笠池や鳴海町地内に亘り、千数百発の油脂焼夷弾の落下により、稲架の稲藁の多量を焼失、又山火事を起こした」「昭和20年6月26日、名古屋市熱田船方の愛知時計電機会社爆撃の日、大型爆弾数十発落下により半壊住家三、爆死小児一の被害があった」と、空襲状況が記されている。
昭和32年 - 相生山の中心付近を南北に山を分断し、東西に都市計画道路を渡す計画が起こった。平成5年 - 都市計画事業認可を受け事業着手。平成16年 - 近隣住民の反対の声や専門家のアドバイスなどにより、環境に配慮するという形で計画変更を若干したものの、工事は進められた。総工費は36億円。平成21年 - 名古屋市長による対話集会を行う。この段階で工事は全体の8割にあたる700mまで進んでいた。
平成22年 - 工事が中断された。平成26年 - 完成予定の年だったが、弥富相生山線の道路事業は廃止し、自然環境保護のため公園として整備することが決定。すでに造ってしまった高架部分に関してはアメリカのニューヨークの実例を参考に空中公園にするなどの案も出されている。しかし、道路工事の大部分が完了しているため、相生山の環境への影響や、今後の用途、巨額の税金投入してまでの工事を途中で中断し廃止にするなどのことに対して、議論は今もなお続く。
