ホリショウのあれこれ文筆庫

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第1487話 水琴窟

序文・小堀遠州が考案

                               堀口尚次

 

 水琴窟(すいきんくつ)は、日本庭園の装飾の一つで、手水鉢の近くの地中に作りだした空洞の中に水滴を落下させ、その際に発せられる音を反響させる仕掛けで、手水鉢の排水を処理する機能をもつ水琴窟という名称の由来は不明である。

 『桜山一有筆記』には、小堀政一〈別名小堀遠州〉が18歳の時に水琴窟を造り、古田重然を驚かせたという逸話が登場する。江戸時代に庭園の設備として用いられるようになり、明治時代には盛んに用いられたが次第に廃れていった。1980年代に新聞やテレビ番組で取り上げられたことをきっかけにその存在が広く知られるようになった。

 水琴窟は手水鉢の近くに設けられた地中の空洞の中に手水鉢の排水を落とし、その音が地上に聞こえるように設計される。この時、排水は滴水化して落とす。具体的な過程としては、縦穴を伝って流れ落ちた水が水滴となって空洞の底面に溜まった水に落ち、その際に発せられた音がヘルムホルツ共鳴によって増幅され、縦穴を通して外部に漏れる。

 多くの場合、空洞は瓶を逆さにして地中に埋めることによって作りだされる。空洞の形状には吊鐘形〈円柱形、上部は半球形〉、銅壺形〈角柱形、上部は水平もしくは若干反った形〉、龕灯(がんとう)形〈円柱形、上部はが大きく反った形〉がある。東京農業大学教授の平山勝蔵によると、音響面の効果は吊鐘形が最も大きい。より大きな効果を得るための方法としては吊鐘形の空洞を二重に設ける、空洞の側壁の裏側に隙間を造り出すといった方法がある。空洞の幅と深さの関係のバランスによって音の質に違いが生じる。空洞の側面および上部は石・陶器・金属などによって造られ、側面には土留が設置される。底部は丸小石、割石、煉瓦、瓦などによって造られる。滴音の反響を大きくするには底部に水を溜める工夫をする必要がある。空洞の上部には水を落とし、さらに音を空洞の外部に漏らすための縦穴をあける。平山はこの縦穴の寸法について、「内法3cm、深さ3cm」が最適としている。水が空洞の壁を伝って流れ落ちないようにするため、縦穴の下端には水切りを用意する必要がある。縦穴の上部は方形または円形かつすり鉢状に整形される。この部分は流れ落ちる水の量および勢いが必要以上のものとなることを防ぐための堤防の機能をもち、滴音が一定に保たれる。