ホリショウのあれこれ文筆庫

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第1504話 クォーツ時計

序文・水晶が振動する

                               堀口尚次

 

 クォーツ時計とは、水晶振動子を用いた時計である。水晶時計または単にクォーツとも。

 20世紀後半から普及し、それまでのぜんまいばねを使用した手巻時計や自動巻時計に代わって、現在最も一般的な時計となっている。ぜんまいばねに代わる駆動としてステップモーターを使用しており、電池が内蔵されている。 従来のぜんまいばね式時計のデザインを踏襲したアナログ時計のほか、液晶やLEDを時刻表示部に採用し数字で時刻表示したデジタル時計がある。

 水晶圧電体の一種であり、交流電圧をかけると一定の周期で規則的に振動する。クォーツ時計ではこれを応用し、通常は32,768Hz〈=215Hz〉の電気信号を水晶振動子によって発振し、それを分周〈周波数を半分にする〉を繰り返して1ヘルツの周波数の信号に変換し、それで電磁石を駆動して針を駆動する。このため、針式では1秒毎のステップ運針となる。デジタル時計の場合は1ヘルツの信号でカウンターを繰り上げ動作させてその結果を表示する。

 一般的なクォーツ時計の誤差は1か月で15 - 30秒程度であり、特に精度の高いモデルでは1年で数秒程度となっている。1か月当たりの誤差を月差、1年当たりの誤差を年差と呼ぶ。周波数の誤差はトリマーと呼ばれるコンデンサで調節する。温度による周波数変化については特定の温度特性をもつコンデンサと組み合わせることや、温度特性が異なる複数の水晶振動子を用いて誤差を補正する製品があった。現在では精度向上は、電波時計GPSなどの外部情報による補正に移行しており、時計自身での精度向上に特に進歩は見られない。

 1880年クォーツ圧電効果がジャック・キュリーとピエール・キュリー〈妻は有名なキュリー夫人〉によって発見された。世界初の市販クォーツ腕時計は1969年セイコーによる「アストロンであった。当時の価格は45万円と、中型乗用車並みの価格であったが、その後急速なコストダウンが進んだ。

 1970年代にはセイコーが特許を公開したことで各メーカーがクォーツ時計の製造に参入し、市場を席巻してクォーツショックと呼ばれる現象を引き起こした。この時期はクォーツ時計の低価格化が進んだ一方、スイスをはじめとする伝統的な時計メーカーは機械式の腕時計が売れなくなったことで大打撃を受け、壊滅状態に陥った。 

※世界初のクォーツ腕時計・セイコーアストロン