ホリショウのあれこれ文筆庫

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第1521話 オスの三毛猫は希少

序文・自然界の不思議

                               堀口尚次

 

 三毛猫とは、3色のが生えているの総称。単に三毛とも言う。英語ではキャリコと呼ばれる。一般的に白・茶色・黒の3色で短毛の日本猫。白・茶色・こげ茶のものを「キジ三毛」、縞模様〈トラネコ〉との混合のものを「縞三毛」と特に分けて呼ぶことがある。日本では広く親しまれ、イラストに描かれたり、近年では街頭ビジョン「クロス新宿ビジョン」に映し出される3Dの巨大な猫のモデルが三毛猫であることなどが話題となった。

 特定の品種の呼称ではなく、単色猫やニ毛猫の交配や、それらと三毛猫のメスとの交配の結果、3色の毛を持って産まれた猫の総称である。ネコの遺伝子の性質から、三毛猫のほとんどはメスであり、オスはごくまれにしか出現しない。また、オスの場合には生殖機能を持たないことが多い。オスは希少であるために高値で取引される場合がある。性格はおっとりしていることが多く、環境への順応性も高いため飼いやすいと言われる。

 原則として三毛猫はメスである。これは、ネコの毛色を決定している遺伝子が性染色体であるX染色体上にあるためである。ぶち〈白斑〉や黒などを決定する遺伝子は常染色体上に存在するが、オレンジ〈茶〉を決定するO遺伝子のみはX染色体上に存在し、伴性遺伝を行なう。そのため、三毛猫が産まれるのはO遺伝子が対立するo遺伝子とのヘテロ接合になった場合となる。これは哺乳類では胚発生の初期に2つのX染色体のうちどちらか一方がランダムに不活性化されることにより、毛色がオレンジになる(O遺伝子が発現)部分と他の色になる部分に分かれるからである。この遺伝子は60年間以上にわたって発見されてこなかったが、2024年11月、X染色体上のArhgap36遺伝子の発現を制御するDNA領域が欠失すると、遺伝子発現が増加しオレンジ〈茶〉の毛になることを、九州大学の佐々木裕之名誉教授のチームと米国スタンフォード大学のグレッグ・バーシュのチームが独立に報告した。
 ごくまれに、遺伝子の変異によってオスの三毛猫が誕生することがあるが、その確率は1/30,000とも言われる。また、三毛猫のオスのほとんどは繁殖能力を持たないので、三毛猫のオスを繁殖させることは難しい。なお、生殖能力のあるオスの三毛猫が交配しても、オスの三毛猫の子猫が生まれる確率は変わらず、その可能性は非常に小さい。