序文・車輪の進行方向が揃う
堀口尚次
キャスタ角は、自動車、オートバイ、自転車、その他の車両または船舶において、車両の横から見た時の、操作された車輪の垂直軸からのステアリング軸の角変位である。デュアルボールジョイントサスペンションを持つ自動車におけるステアリング軸は、上部ボールジョイント〈玉継手〉の中心から下部ボールジョイントの中心を走る、またはキングピンを持つ車両ではキングピンの中心を走る想像上の線である。「キャスター」は英語で脚輪を意味する。
キャスタ角によって車輪は進行方向と揃うようになり、これはキャスタ変位またはキャスタ角のいずれかによって達成することができる。キャスタ変位は車輪の回転軸の前方へステアリング軸を移動させる〈ショッピングカートの前輪と同じ〉。キャスタ角はステアリング軸を垂直から移動させる。
自動車レースでは、キャスタ角は特定の会場のために操縦性を最適化するために調節される。
アーサー・クレブス は、「Improvements in mechanically propelled vehicles〈機械推進車両の改良〉」と題された1896年のイギリスでの特許において、自動車の前車軸を正のキャスタ角を持つように配置することを提唱した。この特許において、クレブスは、この配置が「駆動装置前部の特別な配置によって方向安定性を確保するため、すなわち、他の方向に車軸を維持する傾向がない場合、あるいは一時的な努力によりそれらが上記の平行度から逸脱した後に、車両の2つの車軸の平行度を自動的に再確立するため。駆動装置前部の車軸は、上方向の安定性を確保するために、ピボットピンの軸の射影の後ろに適切な距離に配置される」。
ステアリング軸は、軸を通るように引かれた線が、トレールと呼ばれる距離だけ舗装道路上のタイヤの接地面の中心のわずか上で路面と交差するように傾けられる。この目的は、ステアリングに対してある程度のセルフセンタリングを与えることにある。これによって、車両の制御がより容易になり、方向安定性が向上する。過度なキャスタ角はステアリングをより重くし、応答性はより低くなるが、レースでは旋回中のキャンバーゲイン〈車輪の垂直変位量あたりのキャンバ角の変化〉を改善するために大きなキャスタ角が使用される。ラジアルタイヤでは7度を超えるキャスタ角が一般的である。
