ホリショウのあれこれ文筆庫

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第1543話 公有水面・名古屋のポートアイランド

序文・どこの市町村にも属さない土地

                               堀口尚次

 

 公有水面埋立法は、日本の河川、沿岸海域、湖沼などの公共用水域の埋立、干拓に関する法律である。略称は、埋立法である。対象は「公の水面を埋め立てて土地を造成する」行為とその実施者であり、河川と海域について都道府県知事の免許を規定している。なお、海域のうち港湾区域については港湾管理者に権限があるが、港湾管理者や漁港管理者はほとんどが知事〈または市町村長〉であるため、実質同じといえる。私有地および、公有地でも溝渠やため池の用途変更などに伴うものは対象外であり、また護岸工事や築堤は土地造成が目的ではないため対象外となっている。

 高度成長期、埋立地の急拡大により沿岸海域の生態系維持能力や浄化作用の消失による公害・環境汚染、漁業被害が急増し、昭和48年の法改正によりようやく歯止めが設けられた。特に、改正前の追認制度〈無免許で埋立を開始した者に対し、免許を受けていたと見なす〉が廃止され、原状回復命令を出せるようになった事で、不法投棄の取り締まりが可能となった。

 ポートアイランドは、名古屋港浚渫(しゅんせつ)に伴って出た土砂を受け入れる為に造られ始めた、伊勢湾の最深部、名古屋港の入口に位置する人工島である。愛知県海部郡飛島村西浜の約1 km南に位置する。なお現在、愛知県の所属未定地として残っている。伊勢湾には何本も河川が流れ込んでいるため、放っておくと河川によって運搬されてきた土砂が溜まってくる。そんな中で、名古屋港へ大型の船舶を出入させるためには、名古屋港の水深を深くしておく必要が有るため、浚渫(しゅんせつ)が行われてきた。また、大型船の航行に充分な水面の幅を確保せねばならない。さらに、大型船が接岸できる大規模な岸壁の整備も要する。これらの工事に伴って発生してきた土砂の処分場として、ポートアイランドは昭和50年に着工した。それ以来、ポートアイランドは土砂の処分場として、利用され続けてきた。ポートアイランドの造成開始当初は、物流拠点やゴミ埋め立て処分場などとして使う構想も存在したものの、具体的な土地利用計画は2017年現在でも策定されていない。また現在も、名古屋港の浚渫によって出た土砂が、積み増しされ続けている状態にある。このため、新たな浚渫土砂の処分場の設置が検討されている。現在は、滑走路増設構想も打ち出されている中部国際空港の沖が、有力な候補地として挙げられている。