ホリショウのあれこれ文筆庫

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第1559話 三十番神

序文・一月を交替で守護する

                               堀口尚次

 

 三十番神は、神仏習合の信仰で、毎日交替で国家や国民などを守護するとされた30柱の神々のことである。三十番神は、1ヶ月30日〈旧暦太陰太陽暦であるため、1ヶ月は29日か30日〉を交替で守護する。

 天台宗の開祖最澄伝教大師比叡山に祀ったのが最初とされ、鎌倉時代には盛んに信仰されるようになった。中世以降は特に日蓮宗法華宗法華神道で重視され、法華経守護の神諸天善神とされた。これは、京都に日蓮宗を布教しようとした日像が、布教のために比叡山三十番神を取り入れたためである。

 また、吉田神道天台宗日蓮宗とは別の三十番神として「天地擁護の三十番神」「王城守護の三十番神」「吾国守護の三十番神」などを唱えた。吉田兼倶三十番神信仰吉田神道から発すると主張した。吉田神道では天孫降臨のときの「三十二神」と関連づける記述もある。1868年、神仏分離にともない、明治時代の初期、一時的に配祠が禁じられていたことがある〈現在は各宗派・寺院の判断で堂内祭壇、堂内摂社などの形で自由に祀られている〉。

 三十番神は、歴史的に十種類ほどあるとされる。天地擁護、内侍所守護、王城守護、吾国守護、禁闕守護、法華守護、如法守護、法華経守護、仁王経守護、如法経守護の各三十番神である。

 三十番神は、法華経をはじめ、灌頂経や仁王般若波羅蜜経などの仏典に記された仏法による鎮護国家の考え方を前提とし、神仏習合の展開の中で日本の神々を取り込んで成立した。

 現在は太陽暦の採用により31日が存在するため、31日の神として五番善神〈薬王菩薩、勇施菩薩、多聞天持国天鬼子母神十羅刹女〉を勧請する場合がある。