ホリショウのあれこれ文筆庫

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第1561話 未接触部族

序文・先住民

                               堀口尚次

 

 接触部族とは、近隣のコミュニティや様々な国民国家の世界共同体との継続的な接触を持たずに暮らす、または、自主的に孤立している先住民集団のことである。自らの選択または周囲の状況によって、ファーストコンタクトや、より巨大な文明〈特に現代文明〉との、生活に大きな影響を与える接触を行っていない部族のことである。世界の一体化により、その数は21世紀を迎えるまでに極めて少数となっている。国連、米州機構の米州人権委員会非営利団体サバイバル・インターナショナルは、接触部族の数は、100〜200部族ほどで、部族民の全人口は、最大10,000人と推定している。

 先住民の保護活動を行うNGO「サバイバル・インターナショナル」によると、2013年時点で全世界には接触部族が100以上あると推定されている。接触部族が居住する地域は、いずれも国民国家の領土となっている。接触部族問題に対して、2009年に国連人権理事会が、2013年に米州人権委員会が、自己隔離を選択する先住民の権利を含むガイドラインを導入した。国連が定義する「先住民の権利」には「孤立したまま暮らす権利」も含まれており、接触部族が望まない接触は彼らの自己決定権を侵害するものであると先住権問題の活動家は主張している。

 未接触部族が外部者との接触を拒否する理由として、人類学者は過去の歴史によって部族が外部に対する恐怖を持っているからだと考えている。アメリカ大陸のインディアンのように、孤立した部族はしばしば外部から殺害ないし奴隷化され、外部者を恐れることを学んだ部族はそのメッセージを口頭で伝承してきたのである。孤立した部族に対する攻撃は21世紀に入っても確認されており、南アメリカ大陸では違法な森林伐採や石油・ガスの採掘で接触部族が生活地を失ったり、外部者による虐殺行為が発覚したりしている。一方で接触を試みる外部者に対し積極的な反撃を行う接触部族もおり、侵略者とみなした外部者を弓矢で攻撃して死傷させた事例や、接触部族の調査のために居住地の上空を飛行した飛行機に矢を放った事例もある。一方で、接触部族の側から外部へ接触してくるケースも報告されている。接触部族は「謎に満ちた部族」と扱われることもあるが、言葉が似通った部族が仲介することでコミュニケーションを取ることができる部族〈ペルーのマシコ・ピロ族〉もある。