序文・1.5km3分の路線
堀口尚次
築港(ちっこう)線は、愛知県名古屋市南区の大江駅から同市港区の東名古屋港駅までを結ぶ名古屋鉄道〈名鉄〉の鉄道路線である。かつて築港支線と称していた時期があり、築港支線と呼称される場合は常滑線の支線として扱われた。
沿線の工場への通勤路線である。きわめて短い〈1.5㎞〉鉄道路線であるが、名古屋臨海鉄道東築線・東港線経由で東海道本線と繋がっており、豊川の日本車輌製造で製造された車両や資材の搬入、廃車車両の搬出に使用されている。また東名古屋港駅からは名古屋港大江ふ頭への引き込み線が伸びており、こちらは車両を輸出する際に用いられる。そのため、当路線は地元の鉄道産業にも欠かせない路線の一つとなっている。
途中にある名古屋臨海鉄道東築線との交点は、ほぼ90度の平面交差〈ダイヤモンドクロス〉となっており、現存するものでは珍しい存在である。本路線のダイヤモンドクロスは路面電車区間以外の路線では日本で唯一である。平面交差の先の名電築港駅横では廃車済み車両の解体と搬出が行われる。
昭和40年代までは名鉄屈指の貨物路線であったが、名古屋臨海鉄道の開業により愛知県から運行委託されていた7号地〈昭和埠頭〉、8号地〈船見埠頭〉、9号地〈潮見埠頭〉への構外側線を同社に移管したことで名鉄が受け持つ貨物の輸送量は激減し、貨物営業は昭和59年に廃止された。
令和6年3月16日改正時点で1日平日20往復、土休日8往復の線内折り返し列車が朝夕のみ運転されている。昼間9 - 15時台の運転はない。全列車ワンマン運転を行っている。またこれとは別に、平日9往復、土休日11往復の不定期列車も設定されている。大江 - 東名古屋港の所要時間は3分である。ワンマン運転開始以降、築港線の運転は大江駅の運転係員が担当しており、それまで担当していた神宮前乗務区の乗務員は築港線に関わらない。
昭和55年ごろまでは、新名古屋方面との直通列車も最大4両編成で運転されていた。新名古屋発は7時台で、末期は普通列車であったが、昭和35年代は急行として運転されていたこともあった。大江駅の築港線用ホームは1線しかなく、東名古屋港駅も1線のみのため、築港線には1本の列車しか入線できない。東名古屋港駅での車両の夜間滞泊は行われておらず、定期回送列車も運行されないため、始発と終電は大江駅からの営業列車で送り込まれる。

