ホリショウのあれこれ文筆庫

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第1570話 島ではなくなった桜島

序文・火山の影響

                               堀口尚次

 

 桜島は、日本の九州南部、鹿児島県の鹿児島湾〈錦江湾〉北部に位置する東西約12km、南北約10 km、周囲約55 km、面積約77 km2の活火山。鹿児島県指定名勝。かつては名称のとおりであったが、大正3年に発生した大正大噴火により東側にかつて存在した瀬戸海峡が埋め立てられ大隅半島陸続きになっている

 大正3年1月12日午前10時5分、桜島西側中腹から黒い噴煙が上がり、その約5分後、大音響と共に大噴火が始まった。約10分後には桜島南東側中腹からも噴火が始まった。間もなく噴煙は上空3,000 m以上に達し、岩石が高さ約1,000 mまで吹き上げられた。午後になると噴煙は上空10,000 m以上に達し桜島全体が黒雲に覆われた。大音響や空振を伴い断続的に爆発が繰り返された。午後6時30分には噴火に伴うマグニチュード7.1の強い地震が発生し、対岸の鹿児島市内でも石垣や家屋が倒壊するなどの被害があった。

 1月13日午前1時ごろ、爆発はピークに達した。噴出した高温の火山弾によって島内各所で火災が発生し、大量の噴石が島内及び海上に降下し、大量の火山灰が風下の大隅半島などに降り積もった。午後5時40分に噴火口から火焔が上っている様子が観察され、午後8時14分には火口から火柱が立ち火砕流が発生し、桜島西北部にあった小池、赤生原、武の各集落がこの火砕流によって全焼した。午後8時30分に火口から溶岩が流出していることが確認された。桜島南東側の火口からも溶岩が流出した。

 1月15日、赤水と横山の集落が、桜島西側を流下した溶岩に覆われた。この溶岩流は1月16日には海岸に達し、1月18日には当時海上にあった烏島が溶岩に包囲された。一方、桜島南東側の火口から流下した溶岩も海岸に達し、噴火前には72 mもの深さがあった瀬戸海峡も埋め立てられていき、1月29日、桜島大隅半島と陸続きになった。このとき瀬戸海峡付近の海水温は49℃に達した。溶岩の進行は2月上旬に停止したが、2月中旬には桜島東側の鍋山付近に新たな火口が形成され、溶岩が流出した。噴火活動は大正5年にほぼ終息した。この噴火によって直径400 mのほぼ円形の大正火口が残された。

私見】かつて錦江湾に身を投げた西郷隆盛だが、まさか自分の運命が鹿児島と同じ様〈島でなくなってしまう〉になるとは思わなかったことだろうに。