ホリショウのあれこれ文筆庫

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第1574話 如意棒

序文・思いのまま

                               堀口尚次

 

 如意金箍棒(にょいきんこぼう)は、中国の伝奇小説『西遊記』に登場する道具。俗に「如意棒(にょいぼう)」とも呼ばれる。

 『西遊記』の主人公孫悟空が武器として使う、黒き神珍鉄製で両端に金色の箍(たが)〈金箍〉がはめられた棒、別名は「天河鎮底神珍鉄」。「如意金箍棒重さは一万三千五百斤〈約8トン〉」という銘がある。触るだけで傷を負うほどで、もし直撃すれば直ちに亡くなると東海竜王が言っている。太上老君(たいじょうろうくん)〈道教の神〉作。

ちなみに猪八戒沙悟浄両名の得物はほぼ三分の一、5040斤〈経蔵1軒分の経典と同じ重さという〉。

 持ち主の意に従い自在に〈=如意に〉伸縮するので、悟空は普段、マッチ棒ほどの大きさに縮めて耳の中に納め、携帯している。必要なときには取り出し、長さ2丈、太さは汁椀ほどにして使用している。孫悟空が法天象地と言う神通を使って万丈〈約30km〉まで身長を伸ばした時、如意棒も三十三重の天界や地獄の最下層である18層地獄まで届くほどの長さに伸ばした。

 もとは黄河の治水に功を残した禹(う)〈中国の王〉が江海〈特定海域の名ではなく海と大河〉の深さを測定した際のおもりという。その後、東海竜王敖廣の竜宮の地下の蔵に「海の重り」として置いてあったものだが、孫悟空竜王から奪い、以降旅が終わるまで武器として使い続けた。

 元々「如意」は、僧が読経や説法の際などに手に持つ道具。孫の手のような形状をしており、笏(しゃく)と同様に権威や威儀を正すために用いられるようになった。

如意」とは「思いのまま」の意味。本来は孫の手の様に背中を掻く道具で、意の如く〈思いのままに〉痒い所に届くので、如意と呼ぶ。

私見横溝正史の映画やテレビドラマ「獄門島」で犯人役の和尚が、隠し持っている如意棒を落としたところを、探偵の金田一耕助に見られてしまう場面がある。なんと和尚は如意棒を武器として使い、殺人を犯してしまうのだ。殺人が目的であり、それこそ痒い所に手が届く如意棒で殴り殺してしまったのだ。聖職にあるものにあるまじき行為だが、映画・テレビドラマ〈元々は推理小説〉の中なので致し方ありませんが…