ホリショウのあれこれ文筆庫

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第1580話 袋地と囲繞地通行権

序文・所有地と公道の関係

                               堀口尚次

 

 袋地とは、民法上は道路に接していない土地をいう。無道路地ともいう。不動産業界においては道路との間に細い路地状の部分を持ち、主たる敷地の大部分が道路と接していないような土地も含む。民法上の袋地を囲んでいる土地を囲繞地(いにょうち)といい、袋地の所有者には囲繞地を通行する権利が発生することがある〈囲繞地通行権〉。袋地は道路付けがないので近隣との境界確定にて紛争になることが多い〈境界確定訴訟〉。土地の歴史を巡って争うので裁判所でも解決しきれない局面が多く、自治体の協力で土地区画整理事業を行うなどの方法が一般的である。また袋地は流水と関係する場合も多い。単に区画整理を一律に行うだけでは洪水や地震などの被害を拡大させる危険もある。防災の面から個々の袋地の地形・地質・そこに建つ建築物について研究が必要である。

 囲繞地通行権とは、ある所有者の土地が、他の所有者の土地又は海岸・崖地等に囲まれて〈この状態を囲繞という〉、公道に接していない場合に、囲まれている土地の所有者が公道まで他の土地を通行する権利である。

 いわゆる相隣関係規定の一つとして、民法210条から213条にかけて定められており、私道設置の根拠法となっている。通行権者は、囲繞地の所有者に対して、必要最小限の方法により通行権を行使することを得、行使に際し償金を支払う、即ち、有償で行使できる。ただし、分筆により、袋地が生じた場合は、分筆前に一筆であった土地のみに無償で通行権が認められる。民法現代語化を目的とした、平成16年民法改正により、「囲繞地」は「その土地を囲んでいる他の土地」などと言い換えられ、法文上「囲繞」の文字はなくなったが、不動産業界等に深く浸透している用語であり、講学上の用語としては現在も用いられている。また同改正により210条の条文見出しは「公道に至るための他の土地の通行権」とされている。