ホリショウのあれこれ文筆庫

歴史その他、気になった案件を綴ってみました。

第1612話 ネロが憧れた画家・ルーべンス

序文・フランダースの犬

                               堀口尚次

 

 ピーテル・パウル・ルーベンス〈1577年 - 1640年〉は、バロック期のフランドルの画家、外交官。祭壇画、肖像画、風景画、神話画や寓意画も含む歴史画など、様々なジャンルの絵画作品を残した。

 ルーベンスは多作の芸術家だった。顧客からの依頼で描いた作品の多くは宗教的題材の「歴史画」であり、神話や狩猟の場面が描かれているものもあった。また、自身や近親者などの肖像画、さらに晩年には風景画も描いている。その他には、タペストリや版画のデザイン、式典の装飾なども手掛けている。

 『フランダースの犬』において、主人公のネロが見たがっていたアントウェルペン大聖堂の絵画である『キリスト昇架』と『キリスト降架』の作者はルーベンスで、ネロが祈りを捧げていたアントウェルペン大聖堂のマリアも、ルーベンスが描いた『聖母被昇天』である。

 『聖母被昇天』は、聖母マリアが天国へと昇っていく様子が描かれている。画面上方の中央に描かれたマリアは、白色のサテンと金の錦のドレスを身につけている。マリアのサテンの上着の裏地には、パステルピンクの色が使われている。マリアの周りには、翼を生やしたプット〈幼児〉がたくさん描かれている。画面上方の左側では、大きい天使が2人飛んでおり、バラの花でできた輪状の冠をマリアに被せようとしている。