ホリショウのあれこれ文筆庫

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第1621話 夜光虫と赤潮

序文・赤色だけではない

                               堀口尚次

 

 夜光虫は、海洋性のプランクトン。大発生すると夜に光り輝いて見える事からこの名が付いたが、昼には赤潮として姿を見せる。赤潮原因生物としては属名カナ書きでノクチルカと表記されることが多い。動物分類学では古くは植物性鞭毛(べんもう)虫綱渦鞭毛虫目、最近では渦鞭毛虫門に、植物分類学では渦鞭毛植物門に所属させる。一般的な渦鞭毛藻とは異なり葉緑体は持たず、専ら他の生物を捕食する従属栄養性の生物である。

 海産で沿岸域に普通、代表的な赤潮形成種である。大発生時には海水を鉄錆色に変え、時にトマトジュースと形容されるほど濃く毒々しい赤茶色を呈する。春~夏の水温上昇期に大発生するが、海水中の栄養塩濃度との因果関係は小さく、ヤコウチュウ赤潮発生が即ち富栄養化を意味する訳ではない。比較的頻繁に見られるが、規模も小さく毒性もないため、被害はあまり問題にならないことが多い。

 ヤコウチュウは大型で軽く、海水面付近に多く分布する。そのため風の影響を受けやすく、湾や沿岸部に容易に吹き溜まる。この特徴が海水面の局所的な変色を促すと共に、夜間に見られる発光を強く美しいものにしている。発光は、細胞内に散在する脂質性の顆粒によるものであるが、なんらかの適応的意義が論じられたことはなく、単なる代謝産物とも言われる。

 赤潮とは、プランクトンの異常増殖により、や湖沼などの水域の水が変色する現象である。水が赤く染まることが多いため「赤潮」と呼ばれるが、水の色は原因となるプランクトンの色素によって異なり、オレンジ色、赤色、赤褐色、茶褐色などを呈する。赤潮を引き起こす生物は、色素としてクロロフィルの他に種々のカロテノイドを持つ場合が多く、細胞がオレンジ色や赤色を呈する為にこう見える。

 赤潮という用語は一般的に使われるが、科学的には「有害藻類ブルーム」と呼ばれることが多い。これは、プランクトンの異常増殖現象のうち、魚介類や鳥類、海洋哺乳類、あるいは人間に有害な毒を産生する種が大量発生する場合や、毒を産生しない種であっても大量発生によって貧酸素水塊などを形成し、生態系に有害な影響を及ぼす現象を指す専門用語である。