序文・ローカル路線の存続問題
堀口尚次
上下分離方式とは、鉄道・道路・空港などの経営において、下部〈インフラ〉の管理と上部〈運行・運営〉を行う組織を分離し、下部と上部の会計を独立させる方式である。
一般には、中央政府・自治体や公営企業・第三セクター企業などが土地や施設などの資産〈下〉を保有し、それを民間会社や第三セクターが借り受けるなどして運行・運営〈上〉のみを行う営業形態がとられることが多い。
上下分離方式において、関係機関が資産を保有する組織とならずに同様の費用負担を行う営業形態を特にみなし上下分離方式と呼ぶことがある。
鉄道では、高速道路とバス会社のように、本来はインフラ〈線路や土地〉と運行〈車両や営業〉を分離することを指し、日本にもJR貨物や青い森鉄道・南海空港線や和歌山港線などの事例がある。しかし日本では疑似上下分離とでも言うべき類型が増加してる。
整備新幹線を建設する場合、原則として並行在来線に指定された在来線は、新幹線の開業と同時にJRから経営分離されることとなっており、沿線自治体が並行在来線の経営分離に同意しない限り新幹線の着工ができないこととされている。
しかし、西九州新幹線(武雄温泉駅 - 長崎駅間)の場合、並行在来線となる長崎本線〈肥前山口駅 - 諫早駅間。諫早駅 - 長崎駅間および長与駅経由の旧線は引き続きJR九州が第一種鉄道事業者として上下一体で運営〉の経営分離に鹿島市と江北町が強硬に反対し、2005年度以降毎年予算を計上しながら着工できない状態が続いた。このため、同区間に上下分離方式を採用してJR九州からの経営分離を回避することにより、鹿島市・江北町の同意そのものを不要とすることでようやく新幹線の着工にこぎつけたという経緯がある。
【私見】名古屋鉄道の広見線の新可児駅から御嵩駅間がみなし分離方式を打ち切り廃線となることが決定したようだ。筆者は二度御嵩駅まで乗車しているが残念だ。因みに蒲郡線の吉良吉田駅から蒲郡駅間も同様の懸念をはらんでいるが、みなし上下分離方式で存続している。尚、谷汲線・八百津線・美濃町線なども廃線になったが、八百津線のみ乗車できなかったことが悔やまれる。
