序文・緑の中を走りぬける
堀口尚次
- ポルシェ〈Porsche〉は、ドイツの高性能スポーツクーペやSUV、スポーツセダンなどを専門とする自動車メーカーである。バーデン=ヴュルテンベルク州シュトゥットガルトに本社を置く。フォルクスワーゲンAGの傘下である。
- 誰がいつ言い出したのかは定かでないが、昭和期の日本の自動車評論では、当時の356や911の小ぶりなボディと狭い室内、クイックなレスポンスから「ポルシェを着る」、あるいはその操縦の難しさから「ポルシェを着こなす」という表現があり〈少なくとも1980年代前半には既に定着していたようである〉、のちにこれらのモデル以外にも使われるようになった。
- イタリアのフェラーリとは、ともにシュトゥットガルトの紋章を起源とした同じ「跳ね馬」をエンブレムとして掲げ、戦後間もないほぼ同時期に自動車の生産を開始し、モータースポーツの世界で数多くの実績を上げ、スポーツカーメーカーとして大衆から圧倒的な知名度を誇るといった点で多くの共通点がありながら、ブランド理念や経営・販売戦略、デザイン哲学、ドライビングフィールなど社風が全く異なるため、メディアでは「永遠のライバル」と呼ばれることがある。自動車評論家の西川淳は、「クルマ好きが最終的にたどり着くのがポルシェ、フェラーリは究極のクルマ道楽」「どこまでも精密で理性的なポルシェと、儚さがあり感性に訴えかけるフェラーリ」と表現している。映画などでは、ポルシェとフェラーリがカーチェイスを繰り広げるシーンも少なくない。
- 山口百恵の持ち歌である「プレイバックPart2」〈1978年〉の中に「真っ赤なポルシェ」という歌詞が登場するが、実在の企業名・商品名を極力報道しないNHKでは特別番組「第4回ヤング歌の祭典」〈1978年5月2日放送〉で「真っ赤な車」と置き換えられた。しかし1978年末「第29回NHK紅白歌合戦」等、その番組以外では元の歌詞どおり「真っ赤なポルシェ」と歌われている。
